テレビで見るのとは迫力がまるで違う!髙梨沙羅選手らメダリスト参加の大会を札幌で観戦

空を飛ぶという人類の永遠の夢、その夢に一番近いところにいるのは、スキージャンパーかもしれません。ジャンプ台を滑り降りるスキーの動力源は重力です。

そして、その重力に逆らうかのように、抵抗を味方につけ、フワリと空を舞い、ゆっくりと地上に降りていきます。体重を乗せた助走での加速、強く踏み切るための脚力と瞬発力、空中姿勢を維持する持久力とバランス感覚、さらには風向きや風速などの外的要因。ジャンプのパフォーマンスは、これらのファクターがほんの数秒の間に複雑に絡み合い、決定付けられます。

スターティングゲートからカンテ(踏切台)を目指して急斜面を滑り出した選手は、体を丸めて縮こまるような低い姿勢で抗力(空気抵抗)を最小化します。

スキージャンパー

踏み切りでは、体が起き上がる反動力を利用してテイクオフします。空中では揚力、重力、抗力のバランスを取るために極端な前傾姿勢のままスキーをV字形に開き、板と体に受ける空気抵抗を浮力に変換していきます。

1972年冬季オリンピックで繰り広げられたジャンプ競技場での記念大会

「冬空に描かれる軌跡」を見に、宮の森ジャンプ競技場に向かいました。気軽にジャンプ競技を見に行けるのは、札幌市民の特権でしょう。

宮の森ジャンプ競技場

札幌市民はもちろん、日本人にとって忘れがたい1972年の冬季オリンピック。札幌を舞台に繰り広げられた熱戦は、70m級ジャンプ競技で最高潮に達しました。宮の森ジャンプ競技場において、日本人選手が金・銀・銅メダルを独占する快挙を達成したからです。

宮の森ジャンプ競技場の五輪マーク

以来、ここでは札幌オリンピックを記念した国際スキージャンプ大会やサマージャンプなど、多くの大会が開催され、冬だけではなく、夏に北海道を訪れた人の間でも人気の観光名所となっています。

宮の森ジャンプ競技場の俯瞰

今回観戦したのは、2019年1月6日に開催されたノルディックスキーの札幌五輪記念ジャンプ大会です。
ジャンプ競技会を見学する服装は、普段よりも厚着が必須で、足元はスノーブーツか雪の入らないロングブーツがベストです。

宮の森ジャンプ競技場のスキージャンプ台

スキーのジャンプ台を近くでご覧になったことがあるでしょうか。初めて見る人はきっと想像以上の大きさ、迫力に驚かれるに違いありません。現在のスポーツ競技に使用される施設としては、スキーのジャンプ台が最大と言われています。テレビで見るとそうでもありませんが、ジャンプ台のスタート地点近くに立てば、これまで感じたことのない恐怖感にかられるはずです。

宮の森ジャンプ競技場のジャンプ台真横から

観客席は、ジャンプ台に沿ってある為、上に登って行くと、ジャンパーを真横から見ることもできます。飛んでいるスピードが早いので、あっという間に目の前を飛んでいきますが、風を切って鳥のように飛ぶジャンパー達は、テレビで見るジャンプとは迫力がまるで違います。選手たちは、目の前でしっかりテレマーク(着地姿勢)を決めていきます。

しっかりと着地するジャンパー

風などでスタート時間が若干変わりますが、その後、信号が青になったら「10秒以内」にスタートしなければいけません。この10秒で緊張をコントロールし、心を整え、成功のイメージを描き、風を読み、そしてスタートを切ります。

四方八方から吹き付ける風に耐えながら姿勢を保つジャンパー

とてつもない圧力や、四方八方から吹き付ける風に耐えながら姿勢を保つ難しさは、台風時の暴風を全身で受け止める感覚だそうです。

髙梨沙羅「自分も変わらないとトップに立てない。攻めの姿勢貫く」

2019年札幌五輪記念ジャンプ大会で優勝した髙梨沙羅選手(クラレ)と2位の伊藤有希選手(土屋ホーム)、3位の茂野美咲選手(CHINTAI)

札幌五輪記念ジャンプ大会の結果は、女子は髙梨沙羅選手(クラレ)が、1回目に最長不倒の92.5メートルで首位に立ち、2回目も92メートルの大飛行で優勝しました。1人だけK点越えを2本そろえての完勝です。

2019年札幌五輪記念ジャンプ大会で優勝した髙梨沙羅選手(クラレ)

世界的にも女子ジャンプのレベルは上がっており、「自分も変わらないとトップに立てない。攻めの姿勢を貫かなければ」と、今季から苦手の助走姿勢を見直し、飛び出しからの速度向上を図ってきたそうです。2位は伊藤有希選手(土屋ホーム)、茂野美咲選手(CHINTAI)が3位に入りました。

2019年札幌五輪記念ジャンプ大会で優勝した清水礼留飛選手(雪印メグミルク)内藤智文選手(古河市協会)が2位、渡部弘晃選手(東京美装)と作山憲斗選手(北野建設)が3位

男子は2014年ソチ五輪団体銅メダルの清水礼留飛選手(雪印メグミルク)が制しました。内藤智文選手(古河市協会)が2位、渡部弘晃選手(東京美装)と作山憲斗選手(北野建設)が3位でした。

スキージャンプというと、美しい飛翔の姿を思い浮かべるかもしれません。バランス感覚だけではなく、踏み切る際の足腰の力と技術、そして高く飛ぶ恐怖を克服する精神力が求められる、過酷なスポーツです。スキージャンプを実際に見てみると、人間の計り知れない可能性を感じます。やはり、スポーツ観戦は、実際に現地で観戦した臨場感に勝るものはありません。

M.Sawaguchi
ライター、輸出ビジネスアドバイザーとして活動中。
早稲田大学文学部にて演劇を専攻し、能、狂言、歌舞伎、浄瑠璃といった日本演劇、西洋演劇、映画について学ぶ。一方で、海外への興味も深く、渡航歴は30か国以上。様々な価値観に触れるうち、逆に興味の対象が日本へと広がる。現在は、外資系企業での国際ビジネス経験を元に、実際に各地に足を運び、日本各地発の魅力ある人、活動、ものについて、その魅力を伝えることで世界が結ばれていくことを願い、心を込めて発信中。

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