第137話 外国人労働者受け入れと注目業界

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、新年最初の投資講義を受けています。


T:本年も宜しくお願い申し上げます。

神様:こちらこそ。今年も国内外でいろいろと大きな変化がありそうですが、あなたはどんなことに注目していますか?

T:海外では、やはり米中の貿易摩擦が気になります。世界の政治・経済を大きく左右しますよね。国内では、外国人労働者の受入拡大が大きな変化のように思われます。

神様:そうですね。外国人労働者の受入拡大は、国内の深刻な人手不足への対応が目的ですが、単純な労働力の補完という以上に、後々振り返ると歴史的な節目になる出来事かもしれませんね。

T:改正出入国管理法が昨年12月に成立し、今年の4月から施行されますね。

神様:同法は、外国人技能実習生に関して、政府が指定した業種で一定の能力が認められる外国人労働者に対し、新たな在留資格を付与することが柱となります。技能の熟練によっては現行の最長5年間を超えた就労が可能となります。

T:政策の追い風もあり、外国人労働者は2025年には現在の約2倍の250万人程度に達するとの予測もあります(※1)。ただ、外国人による犯罪の増加など、懸念を示す声も多いですよね。神様は外国人労働者が増えることについて、どのようにお考えですか?

神様:(それには直接答えずに)根本的には、少子化による構造的な問題があります。日本の生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は、1990年代半ばをピークに減少し続けています。

T:2022年には団塊の世代が75歳に達し始めるなど、人手不足はますます深刻化していくと見られていますよね。

神様:さらに長期で見ると、2050年の生産年齢人口は 2015年比で約3割減の5,275万人まで減少すると予想されています(※2)。 少子化を解決するために、仕事との両立を含め子供を産んで育てやすい環境を整えることが根本解決策のようにも思われます。

T:とすると、神様は外国人労働者の受入拡大には反対ということですか?

神様:そうは言っていないですよ(笑)。短期的に見れば必要でしょうし、多様性のある社会になることは、問題も生じますが新たなチャンスも生みます。投資的な観点から見ても、外国人労働者関連ビジネスに取り組む企業が注目されます。

T:例えば、どんな企業を注目されていますか?

神様:(笑いながら)聞いてばかりいないで、少し自分で考えてみなさい。外国人労働者拡大に向けてどんなハードルがあるか考えてみるといいですよ。その解決に取り組む企業は成長が期待できますよね。

T:技能実習生の受け入れには、まず、現地での採用活動や就労ビザの取得・更新、日本語や社会人マナー等の教育といったハードルがあると思います。

神様:そうですね、人材サービス業界は当然注目ですね。国内で技術者派遣や製造派遣を展開している大手人材派遣会社の中には、海外にも進出し、外国人技能実習生の来日前教育から来日後の社宅契約、様々な生活サポートなど管理業務を提供しています。こういう企業は業容拡大が期待できます。

T:海外といっても幅広く、中国に強い、ベトナムに早くから基盤がある、ミャンマーを開拓等、企業毎の特色がありそうですね。投資先判断にはその点も注目かもしれませんね。

神様:派遣する業界も、自動車メーカーを主力顧客とする技術系に強い会社、工場向け派遣が得意な会社、ITエンジニア派遣を手がける会社など、バリエーションがあります。

T:それに人手不足が著しい農業や介護といった分野を対象とする会社も伸びそうですよね。

神様:面白い例では、経営コンサルティング会社が、外国語指導講師の派遣を展開しています。外国人労働者が日本語を学ぶ、逆に他国の言葉を日本の会社側が学ぶ等、色々な分野で語学関連のニーズも高まるので、チャンスがあるでしょうね。

Tさんは、外国人労働者増加によって新たに生じる様々な変化とビジネスチャンスを考え、関連企業を調べてみようと思いました。

※1:いちよし経済研究所予想
※2:国立社会保障・人口問題研究所予想

(この項終わり。次回1/16掲載予定)

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