これぞ、京都の紅葉の王道!「南禅寺」から「永観堂」界隈を歩く

紅色に染まる古都を目指し、世界中から観光客が押し寄せる、秋の京都。静寂に佇む古刹に寄り添う樹々の葉が、緑から黄、赤、そして深紅へと移ろい、平安時代からその美しさが謳われています。秋深まり、朝、晩に冬の匂いを感じながら、趣深い季節の色に包まれる古都・京都における紅葉の王道コースとも言われる、南禅寺から永観堂界隈を歩いてみました。

重厚な「三門」と紅葉とのコラボレーション!南禅寺を巡る

京都市左京区にある南禅寺

京都市左京区にある南禅寺の広大な境内(約4万5000坪)は、秋には約300本ものカエデが色付き、重厚な木造の建物とのコントラストも見事です。まだ朝日が山に隠れている早朝に訪れた南禅寺は、観光客も少なく、無音が保たれていました。

南禅寺の日本三大門のひとつに挙げられる重厚な「三門」と紅葉

日本三大門のひとつに挙げられる重厚な「三門」と紅葉とのコラボレーションも秀逸で、秋の京都にいる贅沢さを全身で感じます。

南禅寺の「三門」を通してみる額縁絵画のような紅葉模様

「三門」を通してみる額縁絵画のような景色に見とれている頃、ようやく朝の陽ざしが届き、紅葉がくすんでいた赤から柔らかな赤へと変貌します。樹々のたもとの苔に紅葉が散り、秋色に染めていました。

南禅寺の「水路閣」とよばれるレンガ造りの風情ある水道橋

「三門」の近くには、「水路閣」とよばれるレンガ造りの風情ある水道橋があります。南禅寺の境内を通るため、その景勝を損なわないようにと、田辺朔郎(たなべさくろう)によって設計デザインされ、1888(明治21)年に造られた琵琶湖疏水の一部となる水路閣です。水路閣の全長は93.2メートル(幅4メートル、高さ9メートル)で、レンガと花崗岩で作られています。今も現役で、水路閣の上には水(疎水)が流れています。水路閣と紅葉の光景は、どこか西洋と東洋の風景が混じるような、独特な世界が広がっていました。

南禅寺の塔頭(たっちゅう)のひとつ、「三門」の横にあるのが「天授庵」

南禅寺の塔頭(たっちゅう)のひとつであり、「三門」の横にあるのが「天授庵」です。枯山水(かれさんすい)の本堂東庭と池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)の書院南庭と二つの庭園で、趣ある紅葉を楽しむことができます。池を中心とした回遊式庭園では、竹林の緑と紅葉が絶妙なバランスで保たれています。

南禅寺の塔頭(たっちゅう)のひとつ、「三門」の横にあるのが「天授庵」

水面に映る紅葉を、鯉が尾びれで乱し、綺麗な水紋をつくりました。なんともいえない風情を感じる一瞬でした。

創建は863年、平安時代からの歴史をもつ永観堂

創建は863年、平安時代からの歴史をもつ永観堂

古今和歌集に「秋はもみじの永観堂」とも詠まれたほどの美しさで知られる京都屈指の紅葉スポット、正式名称「永観堂 禅林寺」に向かいました。永観堂の歴史は、平安時代にまで遡り、創建は863年と大変長い歴史をもつ、浄土宗西山禅林寺派の総本山です。弘法大師の弟子であった真紹(しんじょう)僧都が、公家の藤原関雄(ふじわらのせきゆう)に別荘を寄進したことが始まりでした。

藤原関雄は、「古今集」にて、

“おく山の 岩がき紅葉 散りぬべし

照る日の光 見る時なくて”

という短歌をのせています。

この短歌の舞台が、当時の別荘、現在の永観堂を指しているのです。そして、この歌に出てくる「岩がき紅葉」は、今でも永観堂の東山の急勾配の傾斜に、しっかりと根を下ろし、見事に赤く色づいています。

永観堂の境内の中心にある放生池

総門をくぐるとそこには、約3000本の紅葉が立ち並びます。境内の中心にある放生池のほとりが美しく色づき、モミジやイチョウが映り込んだ幻想的な水鏡も魅力のひとつです。

永観堂の釈迦堂裏の高台に立つ多宝塔

1928年に建設され、境内の最も高い位置にある多宝塔も、紅葉に包まれ、華やかに彩られていました。

永観堂の中腹からの眺め

少し山を登り上から見下ろす紅葉、「みかえり阿弥陀如来」が祀られている阿弥陀堂までの渡り廊下から眺める紅葉、そして池の鯉や厳かな着物姿の女性に寄り添う紅葉と、舞台を見ているかのように秋の風景が展開しました。

永観堂の池の鯉

永観堂の着物姿の女性に寄り添う紅葉

昼とはち昼間とはまた違った顔を見せる永観堂と天授庵のライトアップ

アンコールを求めるかのごとく、夕刻永観堂を訪れると、ライトに照らされて浮かび上がる境内は、昼間とはまた違った味わいを見せてくれました。

永観堂ライトアップ放生池

放生池では、橋の欄干がライトアップされて浮かび上がり、水面に紅葉が映り、神秘的な風景を醸し出します。池を取り囲むように生い茂る真っ赤な紅葉と、闇を映す池のコントラストは筆舌しがたい美しさです。

永観堂グラデーション

月の光、灯篭の光に、緑、黄、橙、赤のグラデーションが鮮やかに浮き上がります。

天授庵 ライトアップ.

天授庵でも、二つの趣の異なる庭園がライトアップされており、艶やかな色の中、侘・寂(わび・さび)の世界観に包まれます。南禅寺を離れ、幽玄の古都の秋夜は幕を閉じました。心打たれる感動を残しながら。

N.Shimazaki
Webメディアのプランナー・ライター・カメラマン。国際ビジネスコンサルタント。
北海道大学卒業後、ワールドネットワークを持ったドイツ系企業に所属し、システム、マーケティング、サプライチェーン、イベント等のアジアのリージョナルヘッドとして、多国籍のメンバーとともに世界各地で数多くのプロジェクトを遂行。世界の文化に数多く触れているうちに、改めて「外からみた日本」の魅力を再認識。現在、日本の手仕事、芸能等の文化、自然、地方の独創的な活動を直接取材し、全国、世界へと発信している。

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