北海道紅葉便り 三国峠の天空ドライブから層雲峡、そして土砂崩れからの復興、天 人峡の名瀑「羽衣の滝」へ

紅葉の樹海を走る三国峠

北海道・三国峠

北海道の国道の中で一番標高の高い峠、三国峠(標高1,139m)は、緑深い夏の大樹海も迫力がありますが、秋にはその全てが紅葉し、まさに絶景となります。秋のドライブは、まるで天空を走っているような気分になります。

紅葉の三国峠の松見大橋

三国峠の紅葉で印象的なのが、樹海を背景にS字カーブを描く松見大橋です。大自然の中に高さ30m・長さ330mの松見大橋と樹海とが織り成す美しい眺めは見逃せません。また三国峠の展望台脇にあるカフェでは、店主自慢のハンドドリップコーヒーやソフトクリームが人気です。

紅葉観光の定番地「層雲峡」からライトアップで元気を届ける

三国峠をくだると、日本で1、2の早さで紅葉が訪れる地、層雲峡(そううんきょう)があります。北海道の屋根と呼ばれる大雪山系の北東側にあり、標高1,984mの大雪山系の黒岳山麓、標高約670mに位置します。温泉街の南側にそびえる大雪山系の黒岳山頂付近から紅葉がはじまり、徐々に紅葉前線が山を下って10月上旬くらいになると温泉街が彩りに包まれます。層雲峡温泉の紅葉観光でのおすすめは、「大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイ」です。

標高が上がるにつれて温泉街がどんどん小さくなり、見上げていた遠くの山々が同じくらいの目線になってきます。標高約1,300mの黒岳駅(5合目)に到着すると、空気がひんやり感じられ、季節の先取りです。黒岳駅の駅舎屋上にある展望台からは、山々の絶景が広がります。

銀河の滝

銀河の滝

層雲峡では、黒岳ロープウェイ以外にも、「銀河の滝」や「流星の滝」など見どころいっぱいです。

層雲峡の紅葉谷の奇跡のイルミネート

層雲峡の紅葉谷では、9月22日から、色づく木々を夜にライトアップする「奇跡のイルミネート」が初めて開かれました。層雲峡観光協会が30年前から温めてきた夢でしたが、直前に胆振東部地震が発生しました。節電に伴う自粛ムードが全道に広がる中、「層雲峡の元気を届け、観光客の心を明るくしたい」と開催を決断したとのことです。催しは10月14日までの毎日、散策路入り口付近にあるモミジやナナカマドを50基の発光ダイオード(LED)の照明で浮かび上がらせました。

層雲峡の紅葉谷の奇跡のイルミネート

美しい紅葉と温泉郷が人気の「天人峡」

旭川の奥座敷とも呼ばれる天人峡

もう一つの紅葉のスポットは、旭川の奥座敷とも呼ばれる天人峡(てんにんきょう)です。ここは東に旭岳や大雪山を臨む大雪山国立公園内に位置し、柱状節理(ちゅうじょうせつり)の険しい渓谷に広がる美しい紅葉と温泉郷で有名なスポットです。

旭川の奥座敷とも呼ばれる天人峡

旭川の奥座敷とも呼ばれる天人峡

北海道上川郡にある忠別湖(ちゅうべつこ)の東方面へと続く道々213号線は、すぐ近くに忠別川が流れ、風光明媚な渓谷が広がっています。秋には、急な傾斜の山肌が鮮やかな紅葉によって埋め尽くされ、見事な自然景観を魅せます。

羽衣伝説…天人峡随一の人気を誇る「羽衣の滝」

天人峡随一の人気を誇る「羽衣の滝」

道々213号線の最奥部へ進んでいくと「天人峡温泉」があります。柱状節理の見事な絶壁は、切り立った岩肌からは大地の脈動が感じられます。この地には古くから伝わる羽衣伝説があり、それは昔々、この地を訪れた心優しき若者が山賊に奪われた天女の羽衣を取り返してあげた際、天女がそのお礼にと舞を踊り、その舞によって小さな滝が羽衣の如くに美しく大きな滝に生まれ変わったというものです。それが今、天人峡随一の人気を誇る「羽衣の滝」なのです。

ところが、2013(平成25)年5月に大規模な土砂崩れが発生しました。これにより遊歩道および展望台が壊滅的なダメージを受け、以降、復旧工事のため長らく通行止めになっていました。羽衣の滝への遊歩道の通行止め・路線バスの運行廃止、この2つが重なり、観光への大きな痛手を引き起こしたことになります。

天人峡随一の人気を誇る「羽衣の滝」

2018(平成30)年6月11日、5年もの歳月をかけ、新たな滝遊歩道は全面開通を迎えました。一部復旧工事が続いているところもありますが、道は整備され、観賞台もリニューアルされました。渓谷美もそのままに、羽衣の滝の美しさももちろん健在でした。落差270m、7段の岩肌を流れ落ちる北海道最大かつ全国第3位を誇る名瀑「羽衣の滝」が、黄や赤に染まる渓谷に、天女の羽衣の如くしなやかで気品あふれるたたずまいを見せます。6年ぶりのその光景は訪れた多くの人を、以前と変わらず癒し、力を与えていました。

北海道紅葉便り

M.Sawaguchi
ライター、輸出ビジネスアドバイザーとして活動中。
早稲田大学文学部にて演劇を専攻し、能、狂言、歌舞伎、浄瑠璃といった日本演劇、西洋演劇、映画について学ぶ。一方で、海外への興味も深く、渡航歴は30か国以上。様々な価値観に触れるうち、逆に興味の対象が日本へと広がる。現在は、外資系企業での国際ビジネス経験を元に、実際に各地に足を運び、日本各地発の魅力ある人、活動、ものについて、その魅力を伝えることで世界が結ばれていくことを願い、心を込めて発信中。


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