第128話 スパイと株

株の神様から投資の極意を教えてもらっているTさんは、お金の話は社会に出てから大切なので、家族にもその内容をわかりやすく伝えています。今では、奥様のA子さん、高校生の長女Y、中学生の長男Sも興味を持ち、休日の雑談も投資の話につながったりします。


T:代表的な株式投資の格言に、「人の行く裏に道あり花の山」というのがあるよ。意味わかるかな?

S:大勢の人と逆の投資をするということ?

T:そう、逆張りだね。

A子:人並みに投資していたのでは、人並みの結果しか得られないのはわかるけど、言うほど簡単じゃないわよね。単なるアマノジャクの気持ちでは成功しないでしょ。

T:そうだね、逆張りには勇気だけでなく、物事の裏を読む力が必要となる。『intelligence』(インテリジェンス)という英単語を知っているかな?

Y:「知性・知能」といった意味よね?

T:正解!「情報・報道・諜報」という意味もある。『intelligence』の語源はラテン語の“inter” (間)を“lego” (読む)ということで、「行間を読む、行間から拾い上げる」という洞察的な視点や働きを意味しているそうだ。
逆張りの勇気の裏には、投資する我々に『intelligence』が必要と言えるね。

A子:『Business Intelligence』という言葉も最近時々見るわよね。

T:よく気づいたね!『Business Intelligence』は、近年のビッグデータの活用と結びつけて、組織の様々な情報・データを収集・分析し、経営や事業の意思決定に役立てる手法や技術を意味する。その点で優れていながら、まだ、あまり株価が高くない会社を見つけることも逆張りを成功させるコツかもしれないね。
ところで『Intelligence』は前向きなイメージだけど、『Spy』(スパイ)と言うと、どうだろう?

S:カッコ良いスパイも映画とかでいるけど、国同士の裏の戦いの感じ。

T:そうだね。国同士の軍事的なイメージが強いよね。ただ、最近は、経済活動でも話題なんだ。

A子:経済スパイね。

T:またまた、さすがママ!経済スパイに最初に敏感に対処したのは米国で、1996年、「the Economic Espionage Act(経済スパイ法)」を制定している。経済スパイ法は、従業員、競合業者や外国政府による経済情報の不正取得行為から、米国のビジネスを保護するための法律なんだ。

S:経済スパイって?具体的にはどんなこと?

T:例えば、最近で言うと、中国の国家安全省の関係者が、米国の航空・宇宙関連企業の企業秘密を盗もうとしたとの理由で逮捕されたという報道があった。

Y:そんなに大事な情報なの?

T:経済スパイ法が成立された当時、営業秘密の不正取得によって、米国企業は年間630億ドルもの損失を被っていたと言われている。

A子:それが本当なら、大変な損失ね!

T:このような外部から機密情報を盗もうとする動きを阻止する活動のことを『counterintelligence』(カウンターインテリジェンス)と呼ぶんだ。最近は情報セキュリティに関する用語となっていて、特にサイバー空間を通じて国家の行政に関わる機密を標的として盗んだり壊したりしようとする『サイバーインテリジェンス』に対抗する防衛活動を指すことも多い。

S:またまた、インテリジェンスだけど、カウンターインテリジェンスがいい者で、サイバーインテリジェンスは悪者なんだね。

T:そうだね(笑)。インターネットの普及の負の部分だけど、『Spy』行為が複雑化し、容易に国境を越えるようになってしまっている。さらに、SNSが身近になったことで、『Spy』行為は個人にとっての脅威ともなりつつある。

A子:クレジットカード情報が盗まれて悪用されているケースもあるわよね。

T:個人、企業、国家にわたって『Spy』行為の脅威が増しており、それを防ぐべき関連企業の活躍への期待も高まっている。そういう企業は、みんなが投資していなくても、逆張りで応援したいね。

(この項終わり。次回11/14掲載予定)

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