海老蔵さんが厳かに舞う…宗像大社を舞台にユネスコ無形文化遺産「戸畑祇園大山 笠」とコラボ

2018年9月17日、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の世界文化遺産登録1周年を記念して、市川海老蔵さんの特別奉納公演、ユネスコ無形文化遺産の「戸畑祇園大山笠」の天籟寺(てんらいじ)大山笠よるご奉納運行という、世界的な文化が一同に会する忘れがたい一夜に導かれました。

市川海老蔵さんは、歌舞伎は「敷居が高い」「難解そう」という若い世代の反応も多い中、「もともと歌舞伎は大衆演劇、より多くの方々に日本の伝統芸能の魅力を知ってもらいたい」との強い思いから、様々な取り組みをされています。初めて海老蔵さんの歌舞伎を見て、歌舞伎は面白いと興味を持ち、その世界を楽しむようになった方も多いのではないのでしょうか。また、今回のような歴史的建造物の前で、野外の風を感じ、空や月を見上げ、自由に日本の伝統文化を楽しめるようなSAP社の企画制作の催しは、肩の力を抜きながら日本の伝統文化を楽しめる絶好の機会でしょう。

本公演でも、海老蔵さんは、歌舞伎に初めて接する方も楽しめるように、演者としての表情を崩し、終始穏やかに笑いながら、観客との温かい交流からスタートしました。ユーモアを交えて場を和ませ、少し張り詰めていた観客の緊張感を解いていきます。今日の歌舞伎の見どころにも触れ、リラックスしながら楽しめる場への階段を一段一段用意していきます。

そして場が整った時、表情は凛々しく、真剣な眼差しに変わり、素顔で弁慶へと変わっていきます。成田屋の「歌舞伎十八番」の一つ勧進帳の弁慶の延年之舞の素踊りです。海老蔵さんが厳かに舞い始めると、一瞬にして空気が張りつめ、弁慶のお化粧と衣装が見えてくるような雰囲気を漂わせ、花道への退場までのシーンを華麗かつ雄大に踊られていました。ごまかしが効かないという素踊り。一瞬たりとて隙がない、指先、足先まで心が行き届いた所作に、観客は息をのみ、その光景を見つめました。


余韻がさめない会場に、辻勝さんの和太鼓の音色が響きます。今年8月、佐渡島で3日間、「太鼓芸能集団 鼓童」を取材させていただきましたが、辻さんはその鼓童に2015年12月まで20年在籍され、その後活躍の場を広げられています。美しく艶のある音色から力強い響きまで、緩急自在に様々な感情や景色を表現していました。


引き続き、無形文化遺産の「戸畑祇園大山笠」の天籟寺大山笠による昼の幟山笠から夜の提灯山笠への組み直しが行われました。祈願殿前で山笠から幟(のぼり)を外し、夜の提灯山笠に姿替えです。

「五段上げ、開始」の力強い掛け声で、足並み揃え息を合わせ、上から五段分の提灯を下から上に巧みに押し上げ、4本の柱に固定します。提灯の中は全てロウソクであり、近くによるとその熱を感じ、迫力がより伝わります。3000人の観客の大多数が、休憩時間にも席を立つこともせず「五段上げ」を見守りました。

組み上げられた12段309個の提灯を纏った「光のピラミッド」提灯山笠は、勇壮かつ華麗で、戸畑の男衆の心意気と伝統に、会場からは大歓声が上がりました。戸畑祇園大山笠は、2018年5月には、熊本市で、熊本を支えていく方々へのエールと復興を祈願して特別運行し、その光は多くの人に力を与えました。「戸畑祇園大山笠」の幻想的な灯に照らされて、江戸歌舞伎の市川團十郎のお家芸「蛇柳」が、世界遺産宗像大社で蘇ります。

M. Sawaguchi
ライター、輸出ビジネスアドバイザーとして活動中。
早稲田大学文学部にて演劇を専攻し、能、狂言、歌舞伎、浄瑠璃といった日本演劇、西洋演劇、映画について学ぶ。一方で、海外への興味も深く、渡航歴は30か国以上。様々な価値観に触れるうち、逆に興味の対象が日本へと広がる。現在は、外資系企業での国際ビジネス経験を元に、実際に各地に足を運び、日本各地発の魅力ある人、活動、ものについて、その魅力を伝えることで世界が結ばれていくことを願い、心を込めて発信中。

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