あなたは体験した?心に突き刺さるビート…進化を続ける「太鼓芸能集団 鼓童」

若い世代が作り上げる挑戦と躍進のステージ

世界を活躍の場とする「太鼓芸能集団 鼓童」。その鼓童のメンバーになるには、幾多の試練を乗り越えなければいけません。まず佐渡島にある宿舎で2年間もの共同生活を行います。ここで、体作りや、太鼓、笛、唄、踊りなどの稽古に打ち込みます。カリキュラムはこの他に、能・狂言などの伝統芸能や、茶道や農作業なども含まれます。そこで、徹底的に自分と向き合います。その後、準メンバー選考が行われ、さらにそこから1年間もの実地研修があります。この過程を乗り越えて、ようやく正式なメンバー選考が行われます。非常に厳しい世界ではありますが、これにより全国から佐渡に若者が来る形ができています。

「アース・セレブレーション」で、特に印象に残ったのが、若いメンバーに重要な機会が与えられ、自分のやりたいことを形にできる体制が鼓童に整っていることです。20代の若者達がステージの構成や演出を担当するのは、相当大きなプレッシャーもあるでしょう。もちろん、その機会を与える側も、勇気がいることであり、よほどの信頼関係がないと難しいかもしれません。鼓童が目指す方向は、伝統に則りながらも、常に新たな世界の追求なのでしょう。“進化”する組織の体制が、しっかりと築かれています。

20代の小松崎正吾さんが企画し、同年齢の池永レオ遼太郎さんが音楽監督を担当したステージ「鼓童 Dance Night~CHAKKA FES~」は、衝撃的でした。ハウスダンスと鼓童のコラボレーションは、観客を大興奮の渦に巻き込みます。太鼓のリズムのノリにのって空中を自由に飛び回るダンサーのアクロバットな踊りと、そのエネルギーに共鳴するかのように激しく打ち鳴らされるビートは、観客の心にダイレクトに突き刺さりました。

まさしく初日、観客の心に火がつきます。ダンスナイトで使用されたのが、ローランド社と鼓童が、電子楽器と和太鼓の可能性を探求し共同開発した「電子和太鼓」です。「完全ワイヤレス化」が実現され、幅広い音色での演奏が可能です。

ハーバーマーケットのローランド社の展示ブースでは、子供から大人まで電子和太鼓を楽しそうに体験していました。

鼓童が演奏する「電子和太鼓」と、ベルギーのマイケル・シャック氏の電子ドラムの共演で、会場は最高潮の熱気に包まれ、最先端の音色に体が自然と動きます。佐渡で、国境を越え、ジャンルも超えたすばらしいコラボレーションが実現されました。様々なカルチャーが交差し、原始音と電子音が混ざり、「自分たちが出来る最大限の表現で、伝統を継承しながら今ないものを作り出す」をキーフレーズとした、挑戦の舞台は、まさしく新しい時代に火をつけました。

次の日、開催された「鼓童若手連中2018」の公演は、池永レオ遼太郎さん演出のもと、出演者も制作も若手のチームで構成されていました。昨年の初演にて、フランスの歴史ある「太陽劇団」の代表アリアーヌ・ムヌシュキン氏が鑑賞され、のちに「是非パリでも同じものを」と招聘し、今年の7月に「Kodo Next Generation」としてパリ公演が行われました。

常に進化し続け独創性に富んだステージを創り出す「鼓童(こどう)」

連日満員御礼が続き、千秋楽は40名以上の方がキャンセル待ちとなる盛況ぶりだったそうです。目の肥えたパリの観客を熱狂させた舞台を、歴史ある宿根木公会堂でみることができました。自分達の世代で、また新たなものを創造しようとしていく熱意の力は強く、舞台からほとばしるエネルギーを受け取ることができました。構成もすばらしく、途中で岩手に伝わる鬼剣舞など、日本の伝統芸能が巧みに組み込まれ、独創性に富んだステージとなりました。

常に進化を続ける鼓童は、2017年、2018年には、世界で展開するバーチャル・シンガー「初音ミク」との共演、2018年7月には、日本最大のロックフェス「フジロックフェスティバル」にも出演する等、目を離すことができないふり幅を見せています。11月より日本ツアーが始まる『巡-MEGURU-』では、鼓童メンバーで27歳の住吉佑太さんが初めて演出します。楽曲もすべて新作となり、住吉さんが生まれ育った香川に伝わる獅子舞や徳島の阿波踊り、栃木や群馬に伝わる八木節や岩手に伝わる鬼剣舞など、多くの郷土芸能をさりげなく織り込み再創造されるとのこと、楽しみでなりません。国境や時空を越えた、今までにない試みが凝縮された作品を、是非体験してみてください。

 

撮影・文 / Shimazaki

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externallink関連リンク

「アース・セレブレーション」 https://www.earthcelebration.jp/ 鼓童 「巡 -MEGURU-」 https://www.kodo.or.jp/meguru/