
今回は京都の山あいの高雄(京都市)にある栗山工房さんに伺い、振袖や、小物などができる過程を見学させて頂きました。
「紅型」と言うと沖縄の伝統的な型染め「紅型(びんがた)」が有名ですが、その沖縄紅型に魅せられた初代・栗山吉三郎が、紅型と京都を代表する染物「京友禅」を融合させて生み出したものが「和染紅型」、通称「栗山の紅型」と言うのだそうです。
創業以来守られてきた伝統の中に、現代の感覚も取り入れ、進化し続けており、作品には、京友禅の絵柄、絵羽模様、染色など、やはり、京都らしさ、栗山工房らしさがありました。
京都の染色業界では、着物の反物などを創る際、分業が多いのですが、ここ栗山工房では、ほとんどの行程を一貫して行い、その全てが手作業で行われています。
自然や古紅型などのモチーフから原寸大の図案を起こし、型紙に移し小刀で彫り、図案が出来上がります。
すべてを一貫して行うため、作家に近いスタイルが実現でき、より特徴のある品を制作する事が可能になっているということです。
一つずつ手作業、手描きのために、同じモチーフの絵でも、色付けが違うため、一つ一つが独自の雰囲気を生み出し、世界に一つだけの作品が出来上がるのです。
集中した作業が必要となり、時には力仕事も居る大変な作業の末に、あのすてきな着物が出来上がるのだと思うと、見ているだけで本当に愛おしくなりました。
このような伝統技術の中で危惧されているのが継承問題であることをよく耳にしますが、ここの工房では、ベテランから若手まで幅広い層の職人の方々が従事されていて、特に若い職人の割合が多いことに驚きました。
「当工房では積極的に若手育成に取り組むことで大切な技術を守り、継承しています。」
との事で、最初は、小物などを作り、修行を重ね、振り袖など、描いていくそうです。
この工房では、事前予約で工房見学が出来るだけでなく、テーブルセンターの紅型染 (糊置きしたテーブルセンターに染料で色付けをします。)や、ハンカチの藍染め (白いハンカチを絞ったり、たたんだりして染めます。)の制作もできます。
また土曜日のみ、型紙で防染糊を置かれたものに、手で彩色をする工程を体験し帯も創れます。工房スタッフの指導やアドバイスのもと、型にそって彩色をしていくそうなので、初心者の方でも安心とのこと!(3週間前までに要予約)
普段、着物を着る方はもちろんのこと、そうではない方も、京都旅行の思い出の一つ、世界に一つだけのオリジナル作品を作り、実際に伝統文化に触れてみるのはいかがでしょうか??