伝統やしきたりとは無縁…200万人動員「YOSAKOIソーラン祭り」

観客動員数は200万人越 経済効果も245億円へ


高知県のよさこい祭りと北海道のソーラン節がミックスされて生まれたYOSAKOIソーラン祭りは、札幌の初夏を彩る風物詩として定着しました。

「手に鳴子を持って踊ること」、「曲の中にソーラン節が入っていること」という二つだけあるルールに沿って、自由で独創的な踊りが繰り広げられます。

1991年、南国高知のよさこい祭りを目にした1人の北海道大学の学生は、その街中に響き渡るよさこい節と鳴子のリズム、同年代の若者がイキイキと踊っている姿に衝撃を受けました。「こんな祭りを自分の住む北海道にも!」と夢の実現の為に100名以上の学生が集まり、翌1992年に「第1回よさこいソーラン祭り」を10チーム1,000人の参加者で開催して以降、「街は舞台だ」を合言葉に急成長し、2008年には、330チーム、3万人以上が参加し、観客動員数は200万人を越え、経済効果も245億円にのぼりました。

北海道だけでなく世界各国との国際交流も

そして、今年も6月10日~14日、「第27回YOSAKOIソーラン祭り」が開催され、道庁前を含む札幌市内19会場にて、色とりどりの衣装を身にまとった踊り子たちが熱い舞いを披露しました。
YOSAKOIソーラン祭り
YOSAKOIソーラン祭り
YOSAKOIソーラン祭り
YOSAKOIソーラン祭り

YOSAKOIソーラン祭りは、学校、職場、地域の仲間同士などでチームが組まれ、幼児からお年寄りが一緒になって練習に汗を流し、創造する喜び、自らが主役となって注目を集める快感が参加者の心をとらえています。

「北海道を元気に」「地域を盛り上げる」ということを軸に、北海道のほとんどの市町村で踊りのチームが結成され、地域活性化の核として期待されています。札幌の商店街や町内会も積極的に祭りを誘致し、住民の方々による運営など地域密着型の温かさも見られます。祭りをただ観るだけではなく、旅行者も実際に参加できる会場もあり、土地の文化に直に触れ温かい交流を心に残します。国際交流も盛んであり、現在までハワイ、ラスベガス、北京、台湾など世界各国で相互文化交流を深めています。

北海道だけでなく世界各国との国際交流も

今年大賞を受賞したのは、オホーツク海に面した人口約8000人の漁業の町、枝幸からきた「夢想漣えさし」。力強く舞う踊りに北の漁師の力強さを感じさせ、一斉に広げられた白い扇子のたなびきにオホーツクの荒波を連想させ、観客の心を掴みました。夢想漣えさしは通算4回目の大賞です。

設立者で、会長兼総合プロデューサーである石岡さんは、枝幸町を全国に発信したいという強い思いを原動力に、地元のメンバーを中心に強豪チームに成長させました。設立から22年目を迎える今、活動の幅は国内はもちろん海外へも広がり、「台湾ランタンフェスティバル」への参加は毎年の恒例として、ブラジル遠征も行いました。こうした経緯もあってか今回、ブラジル人留学生が「夢想漣えさし」のチームに参加していました。

YOSAKOIソーラン祭りの特徴は、文化と文化のぶつかり合いで生まれた祭りであり、伝統文化やしきたりとは無縁の今を生きている祭りです。この祭りが、他の地域や文化を積極的に吸収することで、北海道の地域活性の象徴となるべく、さらに進化し続けるでしょう。

撮影・文 / Shimazaki

【以下 YOSAKOIソーラン祭りの様子】

YOSAKOIソーラン

YOSAKOIソーラン

YOSAKOIソーラン

YOSAKOIソーラン


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