
「東北六魂祭」から数えて8回目、復興への決意「絆はいまも引き継がれ育まれている」
東日本大震災からの復興と犠牲者の鎮魂を願い、東北6県の夏祭りが一堂に会する「東北絆まつり」が6月2日~3日、岩手県盛岡市で開催されました。
2011年から16年まで東北6市で順番に開かれた前身の「東北六魂祭」から数えて8回目となります。同市中央通でのパレードには、盛岡山車や盛岡みこしも含め総勢1900人が出演し、大群舞を繰り広げました。主催者発表では、来場者数は両日合わせて約30万3千人でした。
東北6県を代表する夏祭りのパレードの出発セレモニーでは、陸前高田市出身の俳優、村上弘明さんが「あの日から生まれた私たちの絆はいまも引き継がれ、育まれている。いまよりもっとすてきな故郷にする」と復興への決意を宣言し、キャラホール少年少女合唱団が復興の決意を込めて「花は咲く」を歌いました。
パレードは往復2.4キロで、豪華に飾り付けられた山車が先導し、山形花笠まつりの群舞を先頭に福島わらじまつり、仙台七夕まつり、盛岡さんさ踊り、青森ねぶた祭と続きます。また、秋田竿燈(かんとう)まつりは4カ所で演技しました。
東北復興に対する6県の想いと魂が集まる
まずは「ヤッショ、マカショ」の威勢のいい掛け声と花笠太鼓の勇壮な音色とともに、艶やかな衣装と紅花をあしらった笠を手にした踊り手の群舞が繰り広げられました。
福島からは、大わらじが登場。約60人が威勢のいい「わっしょい、わっしょい」の掛け声とともに全長約12メートルの大わらじを担ぎ、力強い歩みで本県の復興をアピールしました。
小気味よいテンポ、躍動感あふれる身振りを魅せる仙台の「すずめ踊り」が続きます。扇子をすずめの羽に見立て、踊り手たちが太鼓や笛の音色にあわせて華麗に舞います。
開催地盛岡からは「さんさ踊り」の踊り手たち約450人が参加。「サッコラー、チョイワヤッセー(幸よ来い)」のかけ声が初夏の街並みに響きます。
青森ねぶた祭では、大地震を起こすと言い伝えられる大ナマズを成敗する鹿島大明神を題材とした山車が登場し、震災が起きないよう祈念しました。そろいの衣装を着た踊り手たちが「ラッセラー」というかけ声とともに力強く飛び跳ねると、会場はひときわ盛り上がります。
そして「秋田竿燈まつり」では、高さ12メートル、重さ50キロの竿燈を額や肩、腰へと次々に移し替える多彩な技に、観客から大きな拍手が送られ、強風に煽られると悲鳴に近い歓声が起こりました。
今年は、福島の一本桜から弘前の花筏まで、東北桜街道や被災地を巡る機会を得ました。各地の取り組みは、現状や方針に合わせて個性あふれる様々な形ですが、根底にある部分は東北復興に対する圧倒的な想いであり、2011年3月以降東北一丸となっていく魂を強く感じました。東北絆まつりでその各県の魂が一つになり、また全国及び海外からその魂を支えたい、参加したいという有志が集結している特別の空気感が盛岡を埋め尽くしました。東北各県にその想いが持ち帰られ、8月には郷土の祭りが華やかに行われることでしょう。今年も、東北の熱い夏が始まりました。
撮影・文 / Shimazaki