多磨霊園に眠る2人の黄門様

「人生楽ありゃ苦もあるさ 涙の後には虹も出る 歩いてゆくんだしっかりと 自分の道をふみしめて」の曲でお馴染みの『水戸黄門』。水戸黄門こと水戸光圀ご一行が旅をしながら悪者をこらしめ、毎回佳境で三つ葉葵の紋所が描かれた印籠を見せて「控え居ろう! この紋所が目に入らぬか」と黄門の正体を明かすという定番の筋書きのドラマです。2017年には黄門様役を武田鉄矢が扮し、BS-TBSで『水戸黄門』の新作が放送され、今なお人気を誇る長寿ドラマです。

しかし実際の水戸光圀は旅をしておらず、幕末頃から講談師が江戸時代に書かれた伝記や滑稽話を『水戸黄門漫遊記』として創作したのが始まりです。明治・大正・昭和と映画化やドラマ化が繰り返しつくられ、TBSのナショナル劇場から、水戸黄門の定番ストーリーが確立されて長寿番組となりました。

この初代黄門様に抜擢されたのが東野英治郎です。東野英治郎は、1931年(昭和6年)新築地劇団に加わり、本庄克二の芸名で多くの演劇や映画に出演しました。生涯出演した舞台が170本以上、映画は330本以上といわれ、日本で最も出演回数が多い俳優と言われています。初代水戸黄門として、1969年8月4日~1983年4月11日、381話に出演しました。

二代目黄門様・西村晃

二代目黄門様に抜擢されたのは西村晃です。学徒動員で特攻隊員として終戦を迎え、戦後すぐ東京芸術劇場研究所に第一期研究生として入所しました。1947年(昭和22年)東京青年劇場の創立に参加。1951年新協劇団の準劇団員となり、1959年に日活と契約を結んで「ビルマの竪琴」など多くの名作に出演しました。二代目水戸黄門として、1983年10月31日~1992年11月9日、283話に出演しました。素朴な初代と違いスマートな「ご老公」で家庭の人気が定着しました。

長期にわたりお茶の間の人気を博した「水戸黄門」。初代と二代目の2人の黄門様が多磨霊園に眠る奇遇に驚きますね。

東野英治郎 埋葬場所: 26区 1種 34側
http://www6.plala.or.jp/guti/cemetery/PERSON/T/touno_ej.html

西村 晃 埋葬場所: 12区 2種 37側
http://www6.plala.or.jp/guti/cemetery/PERSON/N/nishimura_k.html

【筆者プロフィール】
小村大樹(おむら・だいじゅ)
掃苔家・多磨霊園著名人研究家
1976年生まれ。1997年、大学生の時に多磨霊園の横にある石材屋でバイトをしたことをきっかけに多磨霊園に眠る著名人の散策を始める。1998年、当時インターネットが出始めた頃より「歴史が眠る多磨霊園」のホームページを制作。2018年開設20周年を迎える。
足で一基一基お墓を調査し、毎週1,2名ずつ更新をすることを20年間休まず実施(現在も継続中)。お墓をきっかけに眠っている著名人の生き様や時代背景の歴史を学ぶことをコンセプトにしており、掲載している人物は3000名を超える。
サイトを通じて多くの著名人のご遺族とも親交。歴史学者や郷土史家、出版社らの協力も惜しまず提供。一橋大学名誉教授の加藤哲郎『飽食した悪魔の戦後 731部隊と二木秀雄「政界ジープ」』(花伝社)では論文として考察される。『有名人の墓巡礼』(扶桑社ムック)では一部執筆を担当。中学社会科・高校地理歴史の免許を取得し、通信制高校で教壇にも立つ。
『歴史を学ぶのは、過去の事実を知ることだけではない。歴史を学ぶのは、過去の事実について、過去の人がどう考えていたかを学ぶことだ』『私が著名人だと思った人物は全て著名人である』がモットー。

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◆歴史が眠る多磨霊園 http://www6.plala.or.jp/guti/cemetery/
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