元祖です…来場者5万人超の大規模イベント「クラフトフェアまつもと」

来場者数5万人超えの大規模イベントになった「クラフトフェアまつもと」

松本市の「あがたの森公園」では、毎年5月の最終土曜・日曜に全国から約280のクラフト作家と5万人ものクラフトファンが集まる松本市の一大イベント「クラフトフェアまつもと」が開催されます。日本各地で質の高いクラフトフェアが多く開催されるようになりましたが、「クラフトフェアまつもと」は草分け的存在で、全国屈指とされているいます。

長野県松本市の「クラフトフェアまつもと」

始まりは27年前の1985年。松本在住のクラフトマンの1人がイギリスで、もう1人がアメリカで、野外でのクラフトフェアを体験して帰国し、「この楽しさや開放感を、日本でも再現できないだろうか」という話から、他のものづくり仲間にも声をかけ、松本市のあがたの森公園で日本初のクラフトフェアを開催したことでした。

長野県松本市の「クラフトフェアまつもと」

当時は市民にとっては「知る人ぞ知る」イベントでしたが、次第に世の中にクラフトブームが起こり、全国版のカルチャー誌や旅系の雑誌でも紹介されるようになると知名度は徐々に高まり、今では来場者5万人を超える大規模なイベントに成長しました。

 

クラフトの街全体が華やかな雰囲気に

長野県松本市。この街は江戸時代には各地から集められた多くの職人たちが居住する城下町として栄え、戦後には柳宗悦(やなぎむねよし)氏が唱えた民芸運動の舞台として、木工や染織をはじめとする工芸品制作が盛んに行われるクラフトの街です。今でもたくさんのクラフト作家がこの地で暮らし、さまざまな手仕事と出会えるギャラリーやショップが軒を連ねています。魅力的なカフェや個性的な本屋が点在し、様々な美術、音楽、古典芸能等に関わる文化行事も多く、松本を訪れる度に多くの魅惑的な刺激を受けることができます。

 

会場となる「あがたの森公園」を訪れると、木工、陶磁器、染織、ガラス、金属など多彩なジャンルの作家の出展ブースが並んでいました。

長野県松本市の「クラフトフェアまつもと」

長野県松本市の「クラフトフェアまつもと」 長野県松本市の「クラフトフェアまつもと」

作品を手に取ってじっくり見ることができ、作家から直接、制作にまつわる話が聞けるのも魅力です。

長野県松本市の「クラフトフェアまつもと」

長野県松本市の「クラフトフェアまつもと」

長野県松本市の「クラフトフェアまつもと」

のどかな公園の雰囲気と相まって実に心地よい雰囲気です。

あまりの応募作家の多さから出展が選考制になり、工芸好きの市民だけでなく、日本中のギャラリー関係者が作家の開拓や買い付けに来るほど、質の高い個性的な作品が一同に集まります。「あがたの森公園」は緑豊かで広大な芝生が広がり、ピクニックのようにお弁当や飲食ブースの食べ物を食べたり、子どもたちが遊んだりもできます。松本市内の人気飲食店の出展もあり、グルメも充実しています。

長野県松本市の「クラフトフェアまつもと」 長野県松本市の「クラフトフェアまつもと」

さらに、公園の片隅には1920(大正9)年に建築された旧制松本高等学校の建物が残っており、校舎の一部は図書館や公民館として活用され、レトロな歴史ある建物内を楽しむこともできました。当日は、松本市内各所でクラフトのイベントが行われ、街全体が華やかな雰囲気いっぱいで、旅行者も地元の方々も初夏の温かい日差しの中、思い思いの時間を過ごしていました。

撮影・文 / Shimazaki