
栃木県益子町で2018年4月28日(土)から5月6日(日)の間、益子の陶器市が開催されました。前回は関東最大の登り窯「古釜いわした」などをご紹介しましたが、今回も引き続き陶器市の様子を見ていきます。
場内坂通りの「陶庫」は、古民家と石倉のギャラリー自体も見どころのひとつで、当時の石蔵の部分をそのまま使った天井や梁等々、その美しさは目を見張ります。
当時の石蔵を利用したギャラリー「陶庫」
それぞれのスペースに、伝統的な益子焼からモダンな工芸品が並べられ、オリジナルでここでしか買えない器ばかりです。
畳のギャラリースペースは、肥料商時代の店舗部分で、個展や展覧会などに使われています。畳やアンティークな家具と陶器のマッチングは、懐かしさと和スペースならでの深みを感じさせてくれます。木も大谷石も器も器を彩る釉薬も、すべて自然の恵みから生まれたものです。自然素材から丹精込めてつくられた作品に触れると、心が落ち着き、ライフスタイルの基軸にしたいものを改めて実感することができます。
「路地裏テント」は大行列や人気作品の争奪戦も起こる注目エリア
ちょっと離れた場所にある「路地裏テント」には、人気作家さんの作品があります。
お気に入りの作家さんのテントに早朝から人が集まり、個性的な作品が飛ぶように売れていきます。
スワッグを売っているセンスの良い花屋さんもありました。
スワッグというのは、壁飾りの事で、この花屋さんのブーケは、花瓶に生ける花束ではなく、そのまま壁に飾って、自然にドライフラワーになるまで楽しめるような花材が使われています。多くの人で賑わい熱気溢れる会場に、フレッシュな彩りと癒しを与えてくれます。
陶器市に訪れる人々は、スワッグやブーケを手に華やかな気分になったり、淹れたての珈琲をテントのカウンターでいただいたり、陶器巡り以外にも独自の益子での楽しみを見つけていました。
日本全国はもとより、海外からの来訪者も多く見られ、益子焼の注目度の高さがうかがえます。人気の作家ともなると、早朝から整理券を求めて大行列ができるほどです。最近ではSNSを駆使して、あらかじめリサーチしておいてから陶器市に臨むケースも多いようで、ときには人気作品の争奪戦となる場合もあります。
人の手によりつくられる器は、同じものが二つとはなく、その貴重な出会いを求めて益子に多くの人が集まります。益子の澄んだ空気と大自然に癒され、この活気に満ちた陶器市の雰囲気を楽しむだけでも満足できる益子の陶器市。ライフスタイルの向上や変化のニーズが高まる中、自然と調和とする暮らしを軸に、色々な”気づき”を得ることができるでしょう。
撮影・文 / Shimazaki