
宇都宮の大谷町に、古代ローマ遺跡のような巨大な地下空間があります。大谷町付近一帯から採掘され、約2000年前の火山灰や軽石が堆積し生まれた「大谷石」は、旧帝国ホテルの建築にも使われました。1979年にオープンした「大谷資料館」の地下採掘場跡は、天井から壁、床まで全て大谷石を採掘してできた地下空間です。「大谷資料館」は、コンサートやドラマ・映画の撮影など、様々な用途で使われています。2万平方メートル、深さは地下30mにあるこの場所は、なんと東京ドームがすっぽりと入ってしまうほど巨大です。戦時中は、陸軍の地下秘密倉庫や戦闘機を製造する地下工場として利用されていました。古代神殿を思わせるような、重厚でミステリアスな雰囲気を醸し出しています。
一般の人々の目に触れることなく「未知なる空間」と呼ばれた、地下採掘場跡の中を、長く続く大谷石の階段をどんどん下って、地下の巨大空間を目指します。たどり着いたその先にはズラリと並んだ、切り出された大谷石と巨大な空間!
日本にいるとは思えない圧倒的なスケールの地下世界です。坑内の年平均気温は8℃前後で、真夏でもヒンヤリとしており、地上とは異なる世界観を感じます。
天井の穴から差し込む太陽光、外気との温度差により発生する霧や壁面に塩が浮き出て結晶のようにキラキラ光る「石の華」など、自然現象が織り成す幻想さも大きな魅力。
採掘が本格的に始められた江戸時代の中頃から、機械化になる1960年頃までの道具といえば、数本のツルハシ類と、石を運ぶときに使われた背負子ぐらいしかありません。石肌には、手堀り時代のツルハシの跡が残り、ずっしりと年輪の重さを感じます。
薄暗い坑内のところどころにゆらめく照明が、幻想的な世界を演出します。この巨大な地下空間で行われる世界初の地下神殿結婚式が話題とのことで、それは忘れられないセレモニーとなるでしょう。
敷地内には、大谷石採掘の歴史を紹介する「資料館」や「ROCKSIDE MARKET」があります。カフェも併設しているので、オープンテラスで、ダイナミックな岸壁を眺めながらカフェタイムが楽しめます。
ショップオリジナルの雑貨が陳列され、いずれも栃木県で受け継がれる伝統工芸や、ものづくり作家とコラボしています。木目を生かしたぬくもり感じる店内に、大谷石のインテリアがさり気なく置かれていていました。
大谷資料館の周辺には、大谷石の採掘場跡の岩壁に掘られた高さ27mの「平和観音像」
本堂がすっぽりと洞窟に覆われている「大谷寺」があり、大谷資料館と合わせて見学したいスポットです。地域資源が最大限に活用され、石の里「大谷」の探訪は、映画の世界に迷い込んだような唯一無二の経験ができる魅惑のトリップとなりました。
撮影・文 / Shimazaki
『 巨大な地下世界…日本にいるとは思えない「大谷資料館」 へのコメント 1件 』
若い頃に様々な国々へ行きましたが最近はどこへも行きたくなくなり町内の生活が続いている…(´・ω・`)
北関東で近場なので気分転換したいので行きたくなりました(=^ェ^=♪)