これを読めばすべてわかる! ブンデスリーガ 17-18シーズン「全クラブ通信簿」(10位~18位編)

 新たに導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が大きな話題を呼んだ17-18シーズンのブンデスリーガは結局、バイエルンが改めて一強支配を印象づける1年となった。序盤戦でやや出遅れたものの、政権交代後の歩みは見事で、シーズン後半には最大のライバルと目されたドルトムントを6-0と一蹴。事実上、優勝争いは存在せず、5節を残した時点でバイエルンの6連覇が確定した。絶対王者があまりにも強いゆえ、優勝プレーオフやサラリーキャップ制の導入、大富豪などのクラブ買収を阻んでいる「50+1ルール」の撤廃など、ピッチ外ではリーグ改革案の議論が熱を帯びたほどだった。

 2位以下に目を向ければ、欧州カップ戦の負担がなかったシャルケとレバークーゼンが上位に返り咲いたが、昨季のRBライプツィヒやホッフェンハイムのようなビッグサプライズは1つもなし。むしろ多かったのはネガティブな驚きを提供したチームで、ドルトムント、ハンブルク、ケルンなどの名門が期待を裏切った。冬の移籍市場でピエール・エメリク・オーバメヤンがドルトムントからアーセナルに新天地を求め、白熱した得点王争いが見られなかったのも残念だった。その個人タイトルを手にしたのも大方の予想通り、バイエルンのロベルト・レバンドフスキ。29ゴールで2シーズンぶりの栄誉に浴した。

写真=ゲッティイメージズ
文=遠藤孝輔

10位:ヘルタ・ベルリン 50点

 ヨーロッパリーグのグループステージ突破に失敗したものの、前半戦はバイエルンやホッフェンハイムと引き分け、RBライプツィヒに勝利を収めるなど要所で目ぼしい結果を残した。パル・ダルダイ監督が植え付けたハードワークと守備重視のサッカーが完全に浸透し、格上にも怯まずに応戦。その一方で、同格以下との対戦で思うように勝点を得られなかった。自分たちがボールを持つ時間が長くなるほど、ポゼッションによる揺さぶりが不得手という課題が浮き彫りになり、詰まらないミスからの失点が増加。主砲ヴェダド・イビシェヴィッチが衰えの色を隠せなかったのも痛手となった。

 本拠地オリンピア・シュタディオンでの不甲斐ない戦いぶりも上位進出を逃した理由の一つ。ホームでの成績はケルン、ヴォルフスブルクに次ぐリーグワースト3位で、昨シーズン比では勝点マイナス15と苦しんだ。それでも中位に踏み止まれたのは、敵地でのパフォーマンスが良かったからだ。相手にあえて主導権を委ね、カウンター主体に戦うサッカーがハマり、レバークーゼンやフランクフルトに完勝。ハイライトは第17節のRBライプツィヒ戦で、退場者の発生で数的不利に陥りながら堅守速攻で勝利を掴んだ。

11位:ブレーメン 60点

 開幕から10試合勝利がなく、痺れを切らしたフロントは昨シーズンに彗星の如く現れ、チームを降格の危機から救ったアレクサンダー・ヌーリ監督を更迭。セカンドチームで指揮を執っていたフロリアン・コーフェルトを後釜に据えた。結果的に、この人事が大成功だった。35歳の青年監督に率いられたチームは、攻撃的かつアグレッシブなサッカーでリーグを席巻した黄金時代を彷彿させる集団へと変貌を遂げ、第11節以降を10勝7分け7敗という白星先行で乗り切った。後半戦の成績に限れば、ドルトムントより上だ。

 ピッチ上の功労者を挙げるなら、真っ先にジリ・パブレンカの名前が挙がる。スラビア・プラハからやってきたチェコ代表のGKは、名手が揃うブンデスリーガで瞬く間にトップレベルの実力者と認められる活躍を披露。勝点に結びつくようなビッグセーブを何度も披露したのだ。一方、マキシミリアン・エッゲシュタインとトーマス・デラネイという両MFの働きも印象深い。前者の総走行距離はリーグトップの383.35kmで、後者は同3位の377.02km。文字通りのハードワークを繰り返し、攻守の両局面でアクティブに振る舞うコーフェルトのサッカーを根底から支えていた。

12位:アウクスブルク 60点

 降格候補の一角に挙がりながら、シーズンの大半を一桁順位で過ごす健闘を見せ、余裕の残留を勝ち取った。連敗を喫したのが二度(第22~23節、第33~34節)しかなかったように、パフォーマンスの浮き沈みが少なかったのが勝因だ。チームが安定していたのは、GKマルヴィン・ヒッツ、CBマルティン・ヒンテレッガー、ボランチのダニエル・バイアーと、センターラインを支える中軸が大きな怪我をせずにフル稼働したからだ。また、チーム戦術のサイドアタックを先導した攻撃的なレフトバック、フィリップ・マックスがブレイク(リーグ2位の12アシスト)するなど嬉しい誤算もあった。

 補強の成功も見逃せない。ハンブルクで燻っていたミハエル・グレゴリチュが左足の強烈なシュートを武器に、キャリアハイの13ゴールをマーク。新天地で水を得た魚のように躍動した。バイアーとダブルボランチを組み、攻守に渡って気の利く仕事を連発したラニ・ケディラは、RBライプツィヒで構想外となっていた選手だ。両雄のポテンシャルに惚れ込み、チームに迎え入れたシュテファン・ロイターSDの慧眼と、二人の才能を引き出したマヌエル・バウム監督の手腕は称賛に値する。

13位:ハノーファー 60点

 序盤戦のサプライズチームとなった。昨シーズンの2部でゴールを量産したFWマルティン・ハルニクを牽引車に、開幕6戦無敗の好スタートを切ると、第10節にはドルトムントを4-2と粉砕。4位に浮上した。その後、ハルニクの“当たり”がピタリと止まり、期待の新戦力だったFWジョナタスが負傷離脱するアクシデントに見舞われたが、地元出身のFWニクラス・フュルクルクが突如として覚醒。第14節からスタメンに定着したこの25歳が面白いようにネットを揺らし続け、昇格クラブの健闘を支える原動力となった。

 攻撃の主役がフュルクルクなら、守備陣に不可欠だったのがCBサリフ・サネ。空中戦の強さはリーグトップクラスで、何度となく相手の攻撃を跳ね返した。攻守の両輪ががっちりと噛み合い、とりわけ攻守の切り替えの速さが際立ったチームは、一度も残留争いに巻き込まれないパフォーマンスを披露。第24節からの5連敗を振り返っても、その内の4試合が1点差での負けであり、昇格クラブとしては十分に満足できるシーズンを過ごした。ちなみに、今オフは日本代表FW浅野拓磨の加入が有力視されている。

14位:マインツ 40点

 まさに総力で残留を決めた。一度もリーグ戦に出場しなかったトップチーム登録者は怪我に苦しんだCBのニコ・ブンガートと、ザンドロ・シュヴァルツ監督の構想に入らなかった左SBのマリン・シュベルコだけ。新たな守護神として加入したレネ・アドラーが負傷でフル稼働できなかったGKは、ロビン・ツェントナーにフロリアン・ミュラーと計3人がピッチに立った。8ゴールを挙げた武藤嘉紀がチームのトップスコアラーとなったFWに目を向けても、その日本人ストライカーではなく、ロビン・クアイソンやエミル・ベルグレーンが前線で気を吐いた時期も存在。アンカーとCBを務め、高い評価を得たジャン・フィリップ・グバミンを除けば、不動の地位を築いた選手はいなかった。

 いわば日替わりのようにスタメンが変わったのは、シュヴァルツ監督がハードワークを主体とした守備的なサッカーを志向していたから。コンディションや調子の良い選手はもちろん、ピッチで“闘える”者が優先的にピッチに送り込まれ、チームカラーに合わない技巧派MFのアレクサンドル・マキシムなどは期待を裏切った。華麗さとは無縁ながら、いかなる時も粘り強く戦ったチームは、最後の5試合で3勝とラストスパートに成功。最終節を残した時点で1部生き残りを確定させた。

15位:フライブルク 50点

 ヨーロッパリーグ出場権を獲得した昨シーズンからの見劣りは否めないが、このスモールクラブのターゲットは「残留」だった。しかも、開幕前にマキシミリアン・フィリップ(現ドルトムント)とヴィンチェンツォ・グリフォ(現ボルシアMG)を引き抜かれながら目標を達成したのだから、及第点かそれに近い評価は与えられてしかるべきだ。

 最大の功労者はクリスティアン・シュトライヒ監督だ。いわば2部レベルのクオリティーだった戦力をやり繰りし、チームをトップリーグに踏み止まらせたのだから。非凡だったのは“再生”の手腕だ。昨シーズンはジョーカーの役回りだったFWニルス・ペーダーゼンがリーグ2位の15得点と爆発し、1部では通用しないというレッテルを貼られていたレフティーのアタッカー、マルコ・テラッツィーノが年間を通して主力級の働きを披露したのは、シュトライヒの指導や采配があればこそ。同時に、元々定評のある育成の手腕も発揮し、CBチャグラル・ソユンク(21歳)やCB兼ボランチのロビン・コッホ(21歳)といった俊英を飛躍へと導いた。アーセナル移籍の噂が浮上している前者をはじめ、今オフも複数の主軸が退団する可能性は小さくない。ただ、名伯楽であり、熱血漢でもあるシュトライヒが健在なかぎり、チームは来季も粘り強い戦いを見せそうだ。

16位:ヴォルフスブルク 20点

 期待の半分も応えられなかった。昨夏の移籍マーケットで約5000万ユーロを投下する積極補強を展開し、一桁順位を狙える戦力を整えたが、2シーズン連続で昇降格プレーオフに回る体たらく。DFジョン・ブルックス、MFイグナシオ・カマーチョと各セクションのリーダー候補が怪我に泣かされれば、リバプールから借り入れたディヴォック・オリジは点取り屋としてもポストワーカーとしても振るわなかった。アンドリース・ヨンカー→マルティン・シュミット→ブルーノ・ラッバディアと監督がコロコロと変わり、組織固めが遅々として進まなかったのも停滞した大きな理由だ。

 開幕直後から低空飛行を続け、結局、一度も連勝できなかったチームが最終的に積み上げた勝点は33。これはクラブワーストの記録であり、シーズン後半に至っては勝点14しか稼げなかった。その中で好印象を残した数少ない選手が、守護神のクーン・カステールス。好セーブを連発し、キッカー誌選出のベストイレブンに選ばれた。ブルックスやジェフリー・ブルマら怪我人が相次いだCB陣の中で奮闘した20歳の新鋭、オヒス・フェリックス・ウドゥオカイも良い意味でのサプライズだった。

17位:ハンブルガーSV 10点

 ブンデスリーガ創設時から唯一、トップリーグに所属し続けていた“ディノ”(恐竜の意。ハンブルクの呼称)の命運がついに尽きた。最終節まで残留の可能性を残していたものの、昇降格プレーオフに回る16位に勝点2及ばず、クラブ史上初となる2部降格が決定。ゴール裏のウルトラスがピッチに大量の発煙筒を投げ入れ、夥しい数の警官と警備員がフィールドで選手の警護にあたるなど、最後の試合では後味の悪さも残している。

 滑り出しは良かった。アウクスブルク、ケルンを相手に開幕2連勝を飾ったのだ。しかし、第3節から8試合未勝利と急ブレーキ。頼れる点取り屋の不在に加え、マルクス・ギスドル監督の戦術的なバリエーションの少なさが足枷となった。この指揮官に見切りをつけ、後任にクラブOBのベルント・ホラーバッハを据えた人事も失敗だった。超が付くほど守備的なサッカーを志向した48歳は、チームを立て直すどころか7試合で3分け4敗とまるで結果を残せず、第26節終了後に解任の憂き目に遭った。その後、クリスティアン・ティッツ新監督が、20歳の伊藤達哉や23歳のマッティ・シュタインマンを主力に据える大胆な采配でチームを軌道に乗せた(4勝1分け3敗)が“奇跡”は起こせなかった。

18位:ケルン 10点

 敗因ははっきりしている。昨夏に放出したアントニー・モデストの穴埋め失敗、そして主力の負傷離脱だ。戦犯に挙がるのは、第14節のシャルケ戦後に成績不振で解任されたペーター・シュテーガー前監督ではない。たしかに、長期政権を築いていたこの指揮官のトレーニングがマンネリに陥っていると耳にしたが、ケルンのサポーターたちは今季のチーム作りを主導したイェルク・シュマットケ前SDにこそ責任があると見なしている。なにしろ、モデストの後釜として獲得したジョン・コルドバがノーゴールに終わったのだから。主砲の大幅なスケールダウンもあり、新たな得点源を確立できなかったチームが、前年比で「マイナス16得点」というゴール欠乏症に陥ったのは当然だろう。

 怪我でシーズン前半をほぼ棒に振ったDFヨナス・ヘクターや、やはり負傷で第6節から第21節までを全休したMFマルセル・リッセがフル稼働していれば、ほぼ年間を通して最下位で過ごす低迷は避けられたかもしれない。第15節から指揮を執ったシュテファン・ルーテンベック新監督に、一度狂った歯車を噛み合わせる経験も手腕もなく、2試合を残しての降格が決定。来季はキールを2部3位に躍進させたマルクス・アンファンクを新監督に迎え、1シーズンでのトップリーグ復帰を目指すことになる。


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