
青森県五所川原市金木町にある芦野公園は、この町に生まれ育った作家・太宰治が幼少の頃、よくここで遊んでいたことから、文学ファンの中では「一度は訪れたい場所」と言われています。
公園内には「だざい橋」という橋もあり、作品の構想を練るのに太宰治が歩いた場所とされています。およそ100ヘクタールの広さをもつ公園は、冬は雪深く、長い冬が終わると、「藤枝ため池」周辺を中心とした公園内にあるソメイヨシノ、サトザクラ、シダレザクラなど約1500本以上の桜が一斉に花開き、
見る人を圧倒するほどの美しさです。『芦野公園内を鉄道が横断する』という全国でも珍しい光景を見ることができ、もちろん実際に乗ることもできます。
訪れたゴールデンウィーク時期の芦野公園は、桜吹雪の真っただ中。園内を通る津軽鉄道の列車がサクラのトンネルをくぐる瞬間を見ようと、多くの観光客が訪れていました。
芦野公園駅のプラットホームは、普段は無人ですが、桜開花期間中は人が配置されています。
踏切には遮断機が無く、事故防止のため、列車が来る時間になるとロープを張って立ち入り禁止にします。線路の上には両側から桜の木が覆うように咲く桜のトンネルがあり、鉄道と桜のレトロ感あふれるノスタルジックな雰囲気はまさに絶景です。
「走れメロス号」が駅に近づくと、観光客らが一斉に車内外からカメラやスマートフォンを向けます。郷愁を誘う懐かしい車両と桜のトンネルが、桜吹雪とあいまって、日本の春を最高に演出します。遠くでは、金木桜まつりの津軽三味線の音色が響き、東北の旅情を盛り立てます。
公園では、多くの露店が色とりどりに軒を並べ、桜まつりを賑やかに彩り、
芝生広場では、桜の絨毯で敷き詰められた贅沢なグランド上で、親子が野球を楽しんでいました。雪のように降る桜吹雪を浴びながら、春の暖かな日差しを受け、なんともいえないのどかな春の風景を堪能しました。
撮影・文 / Shimazaki