
震災からわずか1か月で復興市として、前を向き商いをはじめた南三陸町。どんな困難にもめげずに歩み続け、2016年で終了した「さんさん商店街」が、かつての町の中心地に震災後8.3メートルほどかさ上げされた高台の造成地に、2017年3月に「南三陸さんさん商店街」としてグランドオープンしました。
プロフェッショナルな南三陸町の街づくり
商店街の一角では、南三陸町の様々な活動が紹介されています。南三陸町観光協会で発行されているフリーペーパー「南三陸」には、南三陸町の食・観光・生活などの魅力が紙面いっぱいに掲載されています。
また、南三陸町の移住センターが発行している「南三陸移住生活」では、「やりたいこと」を応援してくれる町をキャッチフレーズに、移住支援の各制度、体験談、移住へのステップ等がわかりやくまとめられています。冊子やインターネットのホームページを見ても、南三陸町のプロフェッショナルな街づくりに感心し、全国の多くの地方都市の見本となるような活動であると確信しました。
南三陸復興の過程を撮り続けて…
最後に立ち寄ったのが、南三陸の記憶「写真館さりょうスタジオ」でした。
自らも被災者である写真家の佐藤信一氏が、震災後に撮り続けた街の姿をメッセージと共に展示しています。震災前の多彩な色でいっぱいだった南三陸町の自然や生活が見事に写し出されていて、その色や笑顔が震災によって一瞬で奪われていったその壮絶な過程が記録されています。
商店街を訪れて、この写真展を見た人々は、それぞれの人生やふるさとに置き換えて、何かを確実に感じ、心に刻むでしょう。震災から7年。少しずつ取り戻していく色。色づけの主役となる子供たちや復興の過程を佐藤さんは撮り続けています。
購入した佐藤さんの魂あふれる写真集(一冊の売り上げにつき300円が南三陸に寄付)は、きっとこれからの様々な私自身の起点においても、正しい原点に戻し、苦しい状況になっても背中を押し続けてくれることでしょう。これからも佐藤さんが撮り続ける写真を通して、未来に向けて心の色が戻ってくる過程を見ていきたいと強く感じました。
商店街から復興作業中の現場をしばらく眺めている地元の男性がいました。様々な想いを胸に秘め、日々を過ごしているのかもしれません。駐車場から車を出そうとしたとき、さんさん商店街の案内版を見上げると、背後に満開の桜が咲いていました。今にも南三陸町が、桜の羽をつけ、明るい未来に羽ばたきそうな姿に見えました。
高台にある満開の桜に囲まれた志津川高校を見ながら、様々なモノを受け取った南三陸町を後にしました。
取材・撮影・文 / Shimazaki