夢の空間は宇宙船?…橋の建設で新たな歴史も 最大の被災都市から世界の復興モ デル都市・石巻 (2)

マンガロードを進んでいくと震災の爪痕が残る川沿いの向こうに、街の象徴である宇宙船のようなフォルムをした石ノ森萬画館が見えてきました。

石巻市石ノ森萬画館

1998年にお亡くなりなった石ノ森氏の遺志を受け継ぎオープンした石ノ森萬画館は、子供はもちろん大人も十分に楽しめる夢の空間です。石ノ森氏も深く構想・企画に関わったという館内には貴重な原画はもちろん、作品の世界を立体的に再現した展示やアトラクション、オリジナルアニメの上映など石ノ森ワールドを満喫できます。

東日本大震災時、萬画館は1階の6.5メートル地点まで浸水し、1階にあったものはガラスを突き破り全て川へ流されたそうです。いつ再開できるかも分からない状況が続く暗澹とした状況の中、全国各地からの励ましのメッセージや萬画館の正面玄関の割れたガラスを塞いでいたベニヤ板に書き込まれた約10,000人のメッセージが集まるなど、萬画館を復興のシンボルとして再開させようという動きが日に日に高まり、震災発生から1年8カ月後再オープンが実現しました。
石巻市石ノ森萬画館
再オープンに詰めかけた来場者はなんと4000人。街のシンボルの復活は、前進しているという力強い気運を市民に与えたことでしょう。休憩所のベンチには、仮面ライダーのオブジェが石巻の復興していく状況を見守るように座っていました。
石巻市石ノ森萬画館
外に出てみると、川沿いの整備に向けて工事している対岸をバックに、ピンクに咲いている桜の苗木を見つけました。桜と緑に囲まれた未来の川沿いの姿を願う石巻市民の想いをその苗木に巡らせました。

萬賀館を出て内海橋を渡る途中、上流に目をむけると、新しい橋が建設されていました。長年に渡って交通の要衝を果たしてきた内海橋が解体され、石巻街道と直結される新内海橋に、未来への発展「復興のシンボル」になることが期待されているということです。
新内海橋
もう少しで対岸に橋が届き、また新たな歴史が始まります。石巻の歴史と共に歩み、愛された内海橋のように、新内海橋は市民や利用者から愛される、にぎわいに満ちた橋になるでしょう。

旧北上川を基盤に古くから「川湊(かわみなと)」として繁栄してきた石巻。旧北上川への市民の想いは強く、東日本大震災で甚大な被害を受けましたが、国と石巻市、住民がスクラムを組み、川の河口一帯を復興拠点とした「かわまちづくり」を展開しています。目指すのは単なる河川堤防の構築ではなく、人が集い、憩う水辺の空間です。震災後、人口減少が続いている宮城県第二の都市・石巻市は、「最大の被災都市から世界の復興モデル都市、石巻を目指して」を掲げています。

石巻マンガロード

大きな挑戦を続けていく石巻に、また近いうちに訪れてみたいと自然と強い感情が湧きました。2018年6月23日、24日には、「第4回 いしのまき復興マラソン」が開催されます。復興へと進む「元気な石巻!」を発信し続けるその姿勢に、逆に勇気づけられる自分がいました。

石巻マンガロード

取材・撮影・文 / Shimazaki