樹齢推定1000年超え まさに横綱の風格「三春の滝桜」- 東北の桜が心に残すもの(2)

日本三大桜であり国の天然記念物に指定された、国内屈指の銘木「三春の滝桜」を訪れました。樹齢推定は、1000年を超えます。四方に枝を広げ、垂れた枝に紅色の可憐な花を無数に咲かせ、ため息がでるような迫力で、まさに横綱の風格です。
三春の滝桜

この三春の滝桜の圧倒的な生命力に、多くの人が吸い寄せられ、遠くからの旅行者と地域の人々が、一本の桜を一同に眺め、その美しさを共有します。桜の周辺にて、郷土の美味しい食べ物を楽しみ、笑い声はいつまでも絶えません。若い観光客と地域のお年寄りの間にもコミュニケーションが生まれ、あたたかな時間があっという間に過ぎていきます。
三春の滝桜
三春の滝桜
いつの間にか日が落ち、ライトアップされ、たわわに咲いたピンクの花が夜空に見事に浮かび上がりました。

三春の滝桜

「東北・夢の桜街道」、「桜ライン311」、「さくら並木プロジェクト」、「さくらプロジェクト3.11」、「Fukushima さくらプロジェクト」など、東日本大震災からの復興・再生を願い、経験した悲しみを二度と繰り返さない未来を実現するために、東北では桜をシンボルとした様々な活動がされています。桜の植樹事業、インバウンド含む東北桜観光促進、防災の教示、教育・文化活動、普及啓発事業等多岐にわたります。2011年にはイギリス人の女性映画監督ルーシー・ウォーカーさんが被災地に入り、「津波そして桜」という短編映画を製作しました。アカデミー賞にもノミネートされたその映画では、津波にさらされても美しい花を咲かせようとする桜を、絶望のふちに立たされても明るく前向きに生きようとする被災者の姿と重ね合わせ、”桜”が日本人にとっていかに大切な文化であるかを映し出しています。

震災後、たくさんの桜が植樹されています。桜の苗木に、未来への警鐘と癒しへの想いを託し、世代を生き抜いた一本桜の銘木に癒され、先人の想いを受け取ります。色々な物を背負ったたくさんの人々が桜を見上げ、ただ「美しいですね」と顔を見合わせて、笑える瞬間がどれだけ貴重でしょう。集まる目的があり、共感できるものがあるということ。東北の桜を巡り、大切なことに気づきました。

取材・撮影・文 / Shimazaki


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東北・夢の桜街道 http://www.tohoku-sakurakaido.jp/ 桜ライン311 http://www.sakura-line311.org/ さくら並木プロジェクト http://sakuranamiki.jpn.org/cherry_project さくらプロジェクト3.11 http://www.sakura-p.org/index.html Fukushima さくらプロジェクト http://www.fukushimasakura.jp/
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