
雑誌やテレビの取り扱いでは、京都特集が圧倒的で、隣県の滋賀の特集は少ないかもしれません。しかし、SNSによる発信で、彦根城壁の桜、大津の三井寺や琵琶湖疏水の夜桜が紹介され、滋賀の桜が歴史的建造物と共に注目されています。
京都駅から電車にて一時間弱で彦根駅に到着します。彦根城は、築城当時から現存している天守閣は国宝に、各櫓は重要文化財に指定された名城です。屋根瓦の吹き替えや白壁の塗り替えなどの大改修によって美しい風格を維持し、春にその美しさはピークを迎えます。今年は、4月初旬に早くも約1200本の桜が満開を迎えました。彦根城は一層華やかになり、お堀の水面に映し出された桜と彦根城とのコントラストが幻想的な雰囲気を漂わせます。「インスタ映え」のポイントとして、カメラやスマートフォンのシャッターを切る人は途切れることなく続きます。日が落ち、だんだんと暗闇が広がりライトアップされ、風が止んだ時、水面に桜の形が浮かび上がり、噂に違わない極上の光景を目の当たりにすることが出来ました。
場所を大津に移して、滋賀の夜桜巡りは続きます。訪れたのは、三井の晩鐘で有名な三井寺。天台寺門宗の総本山であり、正式には「長等山園城寺(おんじょうじ)」といいます。境内の桜と仁王門・釈迦堂・観音堂・三井の晩鐘・観月舞台などの歴史的建造物は、ライトアップされ、その輝きは目を見張るばかり。毎年、観音堂前展望広場で開催される 「三井寺夜桜コンサート」は大津市民にとって、春の一大イベントです。
最初の夜桜撮影スポットは仁王門。仁王門をくぐってまっすぐ進むと正面に金堂が見え、三重塔のすぐそばに寄り添う桜が、はかなさを醸します。ひかえめな光に照らされた幽玄の世界。歩いていると、自分が当時の時代にいるのかのような錯覚に陥ります。
三井寺から静かな住宅地に降りてくると、琵琶湖疏水両岸の桜がライトアップされ、桜が美しく浮かび上がっていました。暗闇にぼんやりと浮かぶ疏水の桜は、とても幻想的な風景。琵琶湖疏水は琵琶湖の水を京都へ送る水路で、明治期に建造されました。第一トンネル付近の疏水沿いには、山桜を中心とした約660本の桜が植えられていています。明治期の貴重な産業遺産と満開の桜を両方堪能できました。
疏水にかかる石橋「鹿関橋(かせきばし or かせぎばし)」から、桜と水の流れの風情ある光景を眺めます。京都とはまた違う静寂なゆっくりとした貴重な時間を過ごすことができました。
筆者:澤口美穂。カナダへのワーキングホリデー、グアテマラ留学含め、約2年半北米、中米、南米を中心に周遊。帰国後、ヨーロッパ本社の外資系企業日本法人2社で勤務し、アジア、ヨーロッパへ数多く出張。20代からの訪問国数は約30か国以上。平成28年、生活拠点を東京から札幌に移す。様々な国の人々と共に働いてきた経験や自分の想いを形にした新しいビジネスと人生のセカンドステージを構築中。