世界で話題!厳冬の輝く氷「ジュエリー・アイス」

流氷の便りを聴く厳冬期。オホーツクに流れ着く流氷はあまりにも有名ですが、豊頃町の太平洋に面した大津海岸に打ち寄せる透き通った氷「ジュエリーアイス」が、近年多くの評判を呼んでいます。朝日を浴びて、宝石のように輝く、フォトジェニックな神秘的な光景。氷点下20度未満になることもある十勝地方の冬の寒さは、時には川をも凍らし、十勝川の凍ったものが海に流され、波にもまれ角が取れ、クリスタルのように透明になります。

その氷が、十勝川河口近くの大津海岸に打ち寄せられ、朝日や夕陽にキラキラと反射し、様々な光を創り出します。米ニューヨークタイムズ電子版にも、世界的にも珍しい現象として、「ダイヤモンドのように輝く氷が日本の海岸に打ち寄せる」と大きく紹介されています。また物理学者の「この種の川氷を見つけることができる唯一の場所ではないか」とのコメントも掲載されています。

豊頃町ジュエリーアイス

寒風の強い2月末、氷点下20℃に届くという朝5時、帯広のホテルを出て、約55kmの道を約1時間ひた走りました。徐々に空は、青白くなってきて、海岸まで残り5kmあたりで、燃えるような朝日が、十勝川の向こうの地平線から登り始めました。

空はあまりに美しく、大津海岸に行く歩みを一瞬止めてしまいましたが、はっと我に返り、目的の海岸に急ぎます。車を海岸沿いの駐車場に止め、経験したこともない冷たく厳しい風に涙を出していると、凍てついた砂浜を歩き辿り着いた海面が、冷え込みが激しいと発生する『けあらし(蒸気霧)』で一面覆われ、一艘の船が幻想的に浮かんでいました。遠くには、日高山脈が朝日を浴び、そして海岸にはきれいな氷が打ち上げられていました。黄金色を通して光輝く氷群は今まで見たこともなく、ジェエリーアイスという名に恥じない自然がもたらす最高峰の輝きでした。寒さと地形が生み出した奇跡の光景。日が昇るとともに、その氷は色を変え、様々な表情を見せ、厳寒の中でさえいつまでも見ていたい欲求にかられます。

豊頃町ジュエリーアイス

帯広のホテルに戻る途中に、豊頃の指定文化財ハル楡(にれ)の木に立ち寄ります。枝には、細かな氷のしずくがびっしりとつき、朝日に照らされ眩しい光を放っています。葉をすべて落として凛として佇む樹齢約140年の圧倒的な存在感を身体一杯に感じることができました。

眠い眼をこすって早朝から帯広のホテルから出発した約3時間のショートトリップ。なんとも贅沢な夢のような朝の忘れることのない出来事。あの自然美は、厳寒を生きる人たちへの自然の贈り物なのだろうかと、冷たくなった身体を温泉で温めながら、余韻にひたりました。

豊頃町ジュエリーアイス

筆者:澤口美穂。カナダへのワーキングホリデー、グアテマラ留学含め、約2年半北米、中米、南米を中心に周遊。帰国後、ヨーロッパ本社の外資系企業日本法人2社で勤務し、アジア、ヨーロッパへ数多く出張。20代からの訪問国数は約30か国以上。平成28年、生活拠点を東京から札幌に移す。様々な国の人々と共に働いてきた経験や自分の想いを形にした新しいビジネスと人生のセカンドステージを構築中。


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豊頃町ジュエリーアイス紹介サイト http://www.toyokoro.jp/jewelryice/
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