第89話 会社の『進化』を見極める(その4)

株の神様の声が聞こえるというTさん。投資の心構えやコツを、時折神様から伝授されています。新たな年のスタートに、より長い目で将来を見通して見ようと、会社の中長期的な『進化』について話しています。神様は、進化できる会社を見極めるには3つのポイントがあり、1つめは創業の精神に沿った、あるいはそれ自体を進化させた事業展開をしているか、2つめのポイントは自社の強みを正しく認識し、それを生かした事業展開ができるかでした。話は3つめのポイントに及んでいます。


T:進化できる会社を見極める3つ目のポイントは、『人』に関わることでしょうか?これまでの話にヒントがあるとすると、ソニーの社会貢献意欲の高い技術者の例もありますし、富士フイルムの技術力も突き詰めると優れた技術者があってこそですから。

神様:半分当たっています(笑)。
『人』つまり『社員』の『コミットメント』があるか否かが進化できる会社を見極める3つ目のポイントです。

T:経営者がいくら理念や戦略を語っても、それを実行する社員が本気にならないと動かないということですね。

神様:その通りです。『社員のコミットメント』を引き出すために、経営者は、様々な場面で創業の精神や自社の強みを軸にした戦略について、情熱を持って社員に語る必要があります。しかし、口だけでは足りません。例えば、技術者が強みであれば、技術者の創造力発揮を促す場や環境をつくる、あるいは技術力を伸ばすための育成の施策を充実するといったことが必要になります。

T:なるほど、『社員のコミットメント』を引き出すために、創業の精神の実現や自社の強みを伸ばすために、人事施策や社内制度等が整えられているかを注視する必要があるということですね。

神様:そうです。この点に関連して、あなたが進化の成功例で挙げていたロート製薬は面白い取り組みをしていますよ。

T:あっ、兼業解禁、会社の枠を超えた新しい働き方ができるという施策ですか?

神様:さすが、よくご存知ですね。そうです、「社外チャレンジワーク制度」の導入のことです。

T:ただ、『社員のコミットメント』を引き出すと言うと、むしろ、会社の本業に専念させるべきだというのが通常の経営者の考えのように思われます。真逆ですよね?

神様:会社の枠を超えて働くことで、社員が様々な経験や人との出会いを通じて力をつける。それが、新規事業等の会社の新しい挑戦にも役立つと考えているのではないでしょうか。

T:なるほど。最近の若い世代の中には、会社一筋ではなく、いろんなことにチャレンジしたいという思いを持つ人も多いようですから、そのような思いを持つ社員のコミットメントも引き出せるのかもしれませんね。

Tさんは、進化しうる会社を見極めるために、業績の数字や経営者のメッセージだけでなく、社内の制度や環境が『社員のコミットメント』を引き出すものになっているか、よくよく注意して観察・分析しようと改めて強く思いました。

(この項おわり。次回2/14「オリンピック・イヤーと株」掲載予定)

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