【投手の球数を考える】メッセと藤浪、投球数の比較で浮かび上がる一つの仮説

■驚異的なスタミナの持ち主メッセンジャー、NPBでも稀有な存在

 NPBではシーズン3000球をクリアする先発投手は極めて少ない。ましてや連続して3000球を投げ続ける投手は、近年では稀有と言ってもいい。そんな中で例外的なパフォーマンスを見せているのが、阪神・メッセンジャーだ。

 同投手とチームメイトの藤浪晋太郎の登板記録を見ていくと、ある種の仮説が浮かんでくる。

 藤浪が入団して以降のセ・リーグの投球数ランキングが以下。1登板当たりと、1回当たりの投球数も加えた。

〇2013年
1メッセンジャー(神)3265球(1登板108.8球 1回16.63球)
2三浦大輔(De)2845球(1登板105.4球 1回16.20球)
3菅野智之(巨)2832球(1登板104.9球 1回16.09球)
4八木亮祐(ヤ)2730球 (1登板105球 1回17.96球)
5小川泰弘(ヤ)2720球(1登板104.6球 1回15.28球)
18藤浪晋太郎(神)2252球(1登板93.8球 1回16.38球)

〇2014年
1メッセンジャー(神)3544球(1登板114.3球 1回17.01球)
2久保康友(De)2987球(1登板106.7球 1回16.75球)
3前田健太(広)2866球(1登板106.1球 1回15.33球)
4藤浪晋太郎(神)2844球(1登板113.8球 1回17.45球)
5山井大介(中)2804球(1登板101.2球 1回16.15球)

■2015年にさらなる飛躍を遂げた藤浪、“スタミナ”でもメッセンジャー超え

 1回当たりの投球数は15球が目安となる。メッセンジャーは2年とも打者1人当たりの球数は16球を大きく超え、1登板当たりの球数も110球前後と、効率的とは言えない投球をしながら、故障することもなく3000球を優に超える球数を投げていた。

 1年目の藤浪は、高卒1年目だけに投球数が100球に制限され、投球数は2252球にとどまっていたが、翌2014年は2844球。1登板当たりの球数も、1人当たりの球数もメッセンジャーとよく似た数字になった。

〇2015年
1藤浪晋太郎(神)3374球(1登板120.5球 1回16.95球)
2メッセンジャー(神)3255球(1登板112.2球 1回16.81球)
3大野雄大(中)3250球(1登板116.1球 1回15.68球)
4前田健太(広)3189球(1登板110球 1回15.46球)
5ジョンソン(広)3174球(1登板113.4球 1回16.33球)

 この年、藤浪はメッセンジャーを上回る3374球を投げる。1登板当たりの球数も120球を超えた。2016年だけを見れば、藤浪はメッセンジャーよりもスタミナがあったことになる。

〇2016年
1メッセンジャー(神)3218球(1登板114.9球 1回17.36球)
2藤浪晋太郎(神)2948球(1登板113.4球 1回17.44球)
3ジョンソン(広)2895球(1登板111.3球 1回16.05球)
4菅野智之(巨)2863球(1登板110.1球 1回15.62球)
5田口麗斗(巨)2636球(1登板101.4球 1回16.27球)

 メッセンジャーは2016年も変わらず3000球を優に上回る投球を続けたが、藤浪は3000球を割り込む。それだけでなく、7勝11敗と勝ち星が減った。

■昨季不振に陥った藤浪、今季どう立て直すのか

〇2017年
1マイコラス(巨)2954球(1登板109.4球 1回15.71球)
2菅野智之(巨)2795球(1登板111.8球 1回14.92球)
3田口麗斗(巨)2729球(1登板105球 1回15.99球)
4ブキャナン(ヤ)2569球(1登板102.8球 1回16.09球)
5野村祐輔(広)2560球(1登板102.4球 1回16.48球)
6メッセンジャー(神)2503球(1登板113.8球 1回17.50球)
39藤浪晋太郎(神)1093球(1登板99.4球 1回18.53球)

 昨年はメッセンジャーも2503球しか投げることができなかった。2012年から続いた投球数3000球は5年で途切れたが、これは8月10日の巨人戦で右足に打球が当たり、負傷したためだ。その時点で2446球を投げており、圧倒的に1位だった。負傷さえしなければ、昨年も優に3000球を投げていたはずだ。メッセンジャーはNPBの常識では考えられないスタミナの持ち主なのだ。

 しかし一方で藤浪は制球を乱し、たびたび致命的な死球を与えるなどして、シーズンを通して不振に陥った。投球数は1093球まで減った。

 藤浪は2年目からエースのメッセンジャーと同じ登板間隔で、同じようなペースで投げた。しかし藤浪はメッセンジャーではない。こんな驚異的なペースで長年投げ続けることは難しい。そのために成績が低下してきた、という仮説も成り立つかもしれない。

 藤浪はこれまでの投球を見直して、独自のペース配分、投球術を編み出すことが必要なのではないか。(広尾晃 / Koh Hiroo)


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