古くから尾道の人に愛されてきた「賀日あえ」

おせち料理にはその土地の特徴や個性、自慢の食材がふんだんに使用されるものですが、中でも広島県の尾道市に伝わるおせち料理「賀日あえ」は非常にユニークなものです。
名前からおめでたい印象を受ける「賀日あえ」は、アナゴとほうれんそうを酢と砂糖、ごまであえた料理。この料理は「賀節あえ」とも呼ばれ、古くから尾道の人に愛されてきました。

瀬戸内海と山に挟まれた町である尾道には、昔から一年を無事に過ごせた感謝を表すために、海の恵みと山の幸を合わせた「賀日あえ」が作られてきました。実は尾道はアナゴが名物で、「賀日あえ」だけでなく、お雑煮にも焼いたアナゴが使われます。また、山の幸を代表するほうれんそうは、秋から春にかけての尾道の旬。海のそばということもあり、温かいイメージのある尾道ですが、山と海が近くにあるという独特の地形のせいもあり、冬場はかなり冷え込みます。しかしホウレンソウにとってはその冷え込みこそが重要。ほうれんそうは冷え込みが強くなればなるほど、甘く、柔らかくなるという特性を持っているため、尾道のほうれんそうは冬の山の幸として大きな人気を誇っています。

そんな尾道を代表する食材であるアナゴと、山の味の代表であるほうれんそうを、保存が利くように防腐効果のある酢と脱水効果のある砂糖をたっぷり使った料理が「賀日あえ」です。現在では、「賀日あえ」は新鮮なアナゴが入ったときにも作られることもあるようですが、やはり本番となるのはおせち料理。お正月を尾道で過ごす機会があれば、ぜひ楽しみたい一品です。

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