再審制度見直しに関し、検察官や弁護士としての経歴を持つ元衆院議員の山尾志桜里氏が時事通信のインタビューに応じ、再審開始決定に対する検察抗告(不服申し立て)は全面的に禁止すべきだとの認識を示した。
―検察抗告を「原則禁止」とする刑事訴訟法改正案が国会に提出された。
大前提として、検察は「起訴は正しく、再審無罪は裁判官の誤り」と考え、抗告の「十分な根拠」は常にあるとの論理に立つ。「原則禁止」にしても法的な歯止めは現状と変わらない可能性があり、安堵(あんど)できない。抗告の余地をなくさなければいけない。
抗告に対する裁判所の判断期限を1年としたことで、弁護側が再審に値する証明をさらに迫られた場合のハードルが上がるリスクもある。袴田事件の再審を決定付けた「みそ漬け実験」には1年4カ月かかった。
―全面禁止にすると再審請求が乱発される懸念はあるか。
抗告は、新規性のある明白な証拠が出て、地裁が再審を認めるという極めて狭い門を通った後の話だ。その前提が等閑視されている。
―政府は、弁護側の重大な事実誤認などがあれば抗告できると説明している。
新規証拠を検察が覆せるかどうかは、まさに本番の再審で問われるべきことだ。引き延ばしが起きる非公開の再審請求審ではなく、速やかに公開の再審に入り決着をつける方が明らかに迅速で適正だ。再審請求審を公開できるとする法定化も検討に値する。
国会審議では「十分な根拠の具体例」や「過去に十分な根拠なく抗告した事例」を詰めてほしい。抗告の余地を残すならせめて、根拠がないと判断した場合は裁判所が抗告を却下できる法的規定を設けるべきだ。
―証拠の「目的外使用」も焦点だ。
これまで、無罪方向の重要な証拠を検察や警察が隠す中、事態を動かしたのは世論の力だった。抗告却下の法的ハードルがない場合、非公開の再審請求審でメディアや世論が声を上げるためにも、開示証拠の公開は不可欠だ。国会審議を通じて目的外使用に対する刑事罰は何としても外す必要がある。
―証拠開示の範囲については。
一番大事なのは、検察が持つ「証拠リスト」を出させることだ。冤罪(えんざい)被害者にとってのベストエビデンス(証拠)は検事の手元にあり、裁判所には出てこない。リストは弁護側にとって、無罪の証拠を暗闇で探す際の小さな光になる。新たな開示命令規定により、逆に開示範囲が狭くなるリスクもある。対象を「無罪関連証拠」に広げるべきだ。
―法務省が法制審議会(法相の諮問機関)に諮問した流れをどう見るか。
検察抗告の禁止、証拠開示拡大、証拠の目的外使用という「3点セット」を却下し、最低限の改正にとどめるために起こした法制審だ。法務省が人選したメンバーに再審の専門家はおらず、原案もお手盛りの内容だった。より専門性のある公正な人選をすべきだった。
〔写真説明〕インタビューに答える元衆院議員の山尾志桜里氏=21日、東京都港区
〔写真説明〕インタビューに答える元衆院議員の山尾志桜里氏=21日、東京都港区