「糖尿病でもトライできる」=1型発症のラグビー選手―闘病経て復帰・14日は世界糖尿病デー

 14日は世界糖尿病デー。ジャパンラグビーリーグワン1部の「リコーブラックラムズ東京」に所属するプロ選手の大西将史さん(30)は、糖尿病と闘い、復帰後は最前線で活躍している。「糖尿病でもチャレンジは続けられる」と思いを語る。
 大西さんの体に変化があったのは2年前だ。練習試合で脳振とうを起こした後、体が重い感覚が約1カ月続いた。体重は約15キロも減り、チームのメディカルスタッフなどのチェックを受けると糖尿病の一種「1型糖尿病」と分かり、約2週間の入院を余儀なくされた。
 1型糖尿病は、自己免疫異常でインスリンが分泌されなくなり、血糖値が制御できなくなる。公益社団法人のJADEC(日本糖尿病協会)によると、日本での1型の患者数は推定50万~80万人に上り、注射などでインスリンを補う治療が必要だ。
 「子どももおり、家族のことで頭がいっぱいになった」と振り返る大西さん。一方、「病気を理由に大好きなラグビーから離れたくない」とも考えた。その思いを原動力にし、摂取する糖質や栄養に配慮して約3カ月間の調整期間を過ごした。
 先が見えない中、支えになったのはチームの仲間だった。入院中には励ましのメッセージが寄せられ、大西さんの家族にも生活のサポートがあった。「チームに支えてもらい、復帰に集中できた」。努力も実り、昨年3月に公式戦に復帰した。
 大西さんは、現在もインスリンを24時間持続的に注入するポンプを腹部に装着する。練習中などはポンプを外すため、あめやカステラなどを練習前や合間に補給して血糖値を管理する。
 大西さんのチームは12月から始まるシーズンで、同リーグ1部ではチーム初となるプレーオフ進出を目指す。大西さんは「チームの力になりたい。糖尿病でもチャレンジを続けられることを知ってほしい」と力強く語る。
 JADECによると、国内の糖尿病患者と予備軍は計約2000万人に上るが、「怠惰な人がかかる病気」という偏見も根強い。JADECなどは国際的に広く使われる「ダイアベティス」への名称変更を提案しており、清野裕理事長は「糖尿病について正しい理解を持ってほしい」と話した。 
〔写真説明〕インタビューに答えるプロラグビー選手の大西将史さん=4日、東京都世田谷区
〔写真説明〕練習するプロラグビー選手の大西将史さん(右)=4日、東京都世田谷区
〔写真説明〕プロラグビー選手の大西将史さんが糖尿病の治療に使用しているインスリンポンプ=4日、東京都世田谷区

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