SNSで旋風、草の根支持拡大=異例ずくめの次期NY市長

 4日の米ニューヨーク市長選で、民主党候補の州議会議員ゾーラン・マムダニ氏(34)が選ばれた。米最大都市の市長としては初のイスラム教徒で、ウガンダ生まれのインド系移民。過去100年以上の中で最も若く、ラッパーとして活動した経歴もある。異例ずくめの次期市長は、SNSへの動画投稿や草の根の選挙活動を通じ、ほぼ無名状態から支持を拡大した。
 「次は市役所、終点です」。当確が報じられてまず投稿したのは、「市役所駅」に到着する地下鉄の映像。マムダニ氏の選挙戦を印象付けるのが、こうしたSNSの動画だ。字幕が付けられ、家賃の上昇凍結、無料の保育やバスといった生活に直結する政策を分かりやすい言葉で繰り返す。「家賃凍結」を訴え「凍るように寒い」冬の海にも飛び込んだ。
 練習中のアラビア語やスペイン語でも動画を投稿し、多様な人種が集まる街の身近な存在であることをアピール。支持者による動画も多数拡散された。
 今年2月の世論調査では、支持率わずか1%。その後の支持拡大を草の根のボランティア活動が支えた。陣営の発表では、集まった有志は10万人以上。300万軒以上の家を回った。自身は夜中のタクシー乗り場に現れ、ゲイバーで性的少数者(LGBTQ)コミュニティーへの連帯を示し、遅くまでさまざまな場所へ足を運んだ。こうした地道な活動が奏功し、4000万ドル(約60億円)とも報じられる多額の資金を調達したベテラン政治家のクオモ前州知事に打ち勝った。
 父はコロンビア大教授で、母は著名映画監督。今年初めに結婚した妻ラーマ・ドゥワジさんは、シリア系のアーティストで、人気のマッチングアプリで出会ったという。市内の街角や地下鉄で撮られた2人の結婚写真も注目を集めた。
 勝利演説で「私は完璧な候補者からは程遠い。若く、イスラム教徒だ」と誇らしげに語るマムダニ氏。今後も「移民の街であり続ける」と強調するニューヨークで、手腕が試される。 
〔写真説明〕米ニューヨークで演説するゾーラン・マムダニ氏=5日、アメリカ・ブルックリン(AFP時事)

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