規格外の食べものを規格外の美味しさへ。「フードロスプロジェクト」

日本では年間5800万トンの食料を輸入する一方、年間640万トン以上の食べ物が処分されています。生産現場に目を向けてみると、日本の農業者はこの30年で6割減。600万人いた農業者は192万人と、総人口のたった1.5%まで減少し、平均年齢は66歳といいます。食料自給率は先進国最下位の39%です(出典:農林水産省統計)。このように全国の生産現場では、高齢化や担い手不足、耕作放棄地問題など多くの課題が山積し、日本の「食」は正に瀕死の状態です。それにもかかわらず、出荷されずに大量の食べ物が廃棄されているのが現状です。まだ食べられるのに捨てられている食べもの、それがいわゆる「フードロス」です。

◇『SAGA食べる通信 フードロスプロジェクト』

NPO法人SuccaSencaは、生産者と消費者が直接繋がる社会を目指し、食べ物付き情報誌『SAGA食べる通信』を発刊しています。これまでの紙面では、佐賀県の農業の強みである若手をフォーカスし、彼らの人生や「思い」と共に、彼らがつくった食べ物を提供してきました。消費者が普段知ることのできない生産現場の情報を伝え、地域の生産者と消費者を繋ぐことで、農業を切り口とした佐賀県の活性化、そして、日本の「食」を次世代に継承する活動を行っています。

フードロス

今回、NPO法人SuccaSencaと佐賀県NPO支援がタッグを組み、“規格外の食べものを規格外の美味しさへ。”をテーマに、『SAGA食べる通信 フードロスプロジェクト』を発表しました。生産現場から捨てられる食べ物ゼロを目指し、県内生産者とパティシエと共に、捨てられる野菜たちにスポットを当てたスイーツ開発を行います。SAGA食べる通信が軸となり、フードロスの課題を解決する新たな循環の仕組みを生み出すため、『ふるさとチョイスのガバメントクラウドファンディング』にて支援を募っています。寄附金は、アスパラガスや米、れんこんなどを使った商品開発費や活動費に充てられるそうです。

◇廃棄部分を活用しスイーツを開発

市場では、野菜が少し曲がっていたり、表面にわずかなくすみがあっただけで消費者から敬遠され、売れなくなってしまいます。また、市場の流通規格に合わせてカットされ「本来食べられる根元の部分」が捨てられてしまっています。たとえば、アスパラガス農家の安東さんは、見た目が悪かったり、カットされた根本の部位のアスパラガスが1日で10~15kgの廃棄となってしまうと言います。実は、この捨てられている端下の部分は、アスパラガスの甘みが最も凝縮した部分で、世に出回らない紛れも無い正規品なのだそうです。そんな生産現場のフードロスの課題を解決する為、まだまだハードルの高い6次化を生産現場と加工現場が手を組む形でこのプロジェクトがスタートしました。

フードロス

佐賀県嬉野市にあるパティスリー『Spica』のオーナー、パティシエの井上さんと共に、廃棄されてしまうアスパラガスを使ったスイーツを開発しています。一般的にお菓子の材料には使わないアスパラガスを、バタークリームマカロン、ホワイトチョコレートマカロン、そしてサブレ系焼き菓子に組み込んだ試作スイーツが完成しました。アスパラガスの心地よい風味が鼻から抜け、どれも驚くほど美味しく、組み合わせや展開の幅にポテンシャルがあると井上さんは話します。これから試作品の更なるブラッシュアップ、プロジェクトネーミングとキービジュアル開発に入り、本格的に活動を始める予定だそうです。

フードロス

◇「農家さんが丹精込めて作ったのに、本当にもったいない」

『ふるさとチョイスのガバメントクラウドファンディング』には、支援者から多くの応援コメントが集まっています。

・「フードロスをどうにかしないといけないと思いつつ個人レベルでは限界があります。こういう活動が広まっていくきっかけになることを期待してます。」

・「サイズのせいなどで廃棄されてしまう食品には私も心を痛めていました。農家さんが丹精込めて作ったのに、本当にもったいないです。この考えに賛同しますので、ささやかですが寄付させていただきます。」

・「地元・佐賀でのフードロスへの取り組み。心から応援しています。持続可能なプロジェクトとして、ぜひがんばっていただけたらと思います。」

・「とても素敵な取り組みだと思い、僅かですが寄付させて頂きます。世界には食べられずに餓死している人がたくさんいるのに、日本は輸入してまでも食べ物を棄てている現状。このような素晴らしい取り組みがたくさん増えてずっと続けばと願っています!」

なお、このクラウドファンディングは『ふるさと納税』対象事業となっており、SAGA食べる通信の本プロジェクトを通じて納税すると、SAGA食べる通信が厳選した最高A5ランク佐賀牛や、自然豊かな環境で安心・安全の農法で栽培された最高品質の新米、や佐賀県が誇る陶器・有田焼などの返礼品が貰えるそうです。

今後は、アスパラガスだけでなく、お米やれんこんなど、生産現場で出荷されなかった野菜を集め、スイーツとして蘇らせて、『SAGA食べる通信』とセットにして届けたり、商品化に伴って、デパートでの展示会や、フードロススイーツの試食会なども開催を予定しているそうです。『SAGA食べる通信』の購読者や、クラウドファンディング支援者を対象に、農家の方の現場のリアルな情報を聞きながら、スイーツを食べるイベントになるそうです。

externallink関連リンク

【SAGA食べる通信】捨てられる食べ物を生産現場から無くしたい!顔の見えるフードロススイーツプロジェクト https://www.furusato-tax.jp/gcf/196
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