釣り餌業界の苦悩 オキアミから疑似餌へ

昭和40年代から釣りブームが始まりました。磯釣り、防波堤釣りなどの釣り人口は一気に増え、釣り餌の需要も増え始めました。そして日本各地の釣り場を開拓し、特に磯釣り分野では目覚ましい発展がありました。このころから釣り餌を専門に扱う水産物問屋が出始めました。この釣り餌業界を飛躍的に拡大させたのが商業捕鯨の禁止でした。日本の捕鯨船が獲ることのできないクジラの代わりに南極海でオキアミを獲って帰って来たのです。このオキアミが釣り餌の常識を覆しました。

堤防や磯から、今まで近寄りもしなかった青物のブリやヒラマサなど高級魚が釣れだしたのです。昔からのグレの釣果もオキアミによって飛躍的に伸び、磯釣り大ブームが到来しました。釣り場に向かい街道では釣具店が続々オープンし、24時間営業でお客から予約のオキアミの解凍袋が軒並み並びました。そしてオキアミを釣り具店に卸す問屋も一気に増え、釣り餌業界にバブル好景気が生まれました。このブームはしばらく続き釣り餌問屋はトレーラーでオキアミを冷蔵庫に続々入庫していました。

このブームにも陰りが見え始めました。ルアーなどの疑似餌ブームの始まりです。年々餌を使用する釣り人は減り、それに伴い釣り具店も閉店に追い込まれました。そして2017年は釣り人口全体の中で餌を使って釣りをする人は30%を切ったと言われます。廃業や倒産した餌会社をしり目に継続経営を続けている釣り餌問屋は生き残りをかけて釣り餌からの脱却を図り、水産加工品の取り組みをし、販売ルートを模索しています。しかし、既存の水産メーカーや問屋がすでに取り組んだ商品や販売ルートの隙間をぬっての商売は難しく苦悩の日が続いています。

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