第327話 コロナ禍のアパレル業界 カジュアル衣料品に回復の兆し

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、河原を散歩しながら投資談義を行っています。


神様:今日はアパレル業界についてお話しましょう。アパレル業界もコロナ禍の影響を大きく受けてきましたが、なぜか分かりますか?

T:外出を自粛すると外出時の服を購入する機会も減りますから、その分売上も減るということですよね?

神様:その通りです。礼装やスーツなどのフォーマルな服装やカジュアルな服装など、服の種類も様々あります。特にフォーマルな服装や高級ブランド品を扱うアパレル企業は、外出機会の減少により苦境に立たされています。その一方で、カジュアルウエアについては回復も早かったようです。これはなぜだと思いますか?

T:そもそも、カジュアルウエアは普段着ですから、自宅で着られる服も含まれます。在宅勤務でスーツを着る機会が減った一方で、部屋で過ごす時間が増えましたし、Eコマースの広がりでカジュアルな服をネットで購入する機会が増えているのだと思います。

神様:おっしゃる通りです。さらに最近は、カジュアル衣料店で既存店月次売上高が好調に推移しています。

T:それはなぜでしょうか?

神様:人流が回復したことが大きな要因です。2022年夏、新型コロナ感染は第7波がありました。これまでの波を上回る爆発的な感染拡大でしたが、行動規制が課せられなかったことにより、多くの人が外出することができました。部屋着だけでなく外出用として、流行を取り入れながら比較的低価格で商品を提供する「ファストファッション」などを中心に、カジュアル衣料品が多く購入されたため、売上回復への期待が高まっています。

T:なるほど。今後も人流の回復が続くといいですね。

神様:実はもう一つ要因があります。それは「ファッショントレンドの変化」です。トレンドの変化は、通常3~5年のサイクルで変わるとされています。2022年はちょうどそのタイミングで、夏にはへそ出し、厚底やミニスカートといった2000年前後の流行の復活を思わせるファッションが人気となりました。

T:3~4年前と言えばちょうどコロナ禍が始まる前です。気持ちを一新する意味でもトレンドの変化が起こるタイミングとしては受け入れられやすいですよね。

神様:一方で、1世帯あたりの洋服の支出額は今も伸び悩んでいます。節約志向が高まっているため、服装についても引き続き、よりカジュアルなものが好まれる傾向にあるようです。
 

T:今は安くてデザインが豊富な服も多いですからね。

神様:アパレル企業にとっては、原材料の高騰や円安のデメリットがリスク要因として考えられる状況です。今後も第8波など新型コロナウイルスの感染拡大への懸念はありますが、外出機会は増えていくと考えられます。秋冬のファッショントレンドの変化とあわせてカジュアル衣料品の需要拡大については期待がもてそうです。

T:そう言えば環境白書で読んだのですが、アパレル業界では環境に配慮した衣料品の生産が注目され始めているようです。コロナ禍も一つのきっかけとなり、これまでの「大量生産・大量消費・大量廃棄」の見直しも進んでいくのかもしれませんね。

神様:とても良い視点です。環境への意識の高まりから、衣料品の生産についてもCO2排出量などが考慮される機会が増えてきました。生産から販売に至るまで、環境負荷の軽減に貢献する「サステナブルファッション」も注目されます。これらに適切に対応する企業にも注目してみると良いと思います。

(この項終わり。次回11/30掲載予定)

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