第312話 コロナ禍・原材料価格上昇・円安…外食産業の打開策は?

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェで投資談義を行っています。


神様:7月27日、財務省は令和4年7月の地域経済の概況を公表しました。これは、北海道から沖縄まで11の地域の経済情勢を示すものです。全国としては、7月は前回4月の判断から「据え置き」となり「緩やかに持ち直している」との表現にとどまりましたが、地域ごとでは6地域で「上方修正」となるなど、今後に期待が持てるところもありました。

T:しかし、足元では新型コロナ感染者数が過去最高を更新していますから、景気もこの先どうなるか。大阪では高齢者に対する行動制限の要請も出ました。再び経済活動に足踏みが訪れるでしょうか?

神様:個人個人でしっかりとした感染対策を行っていくことに尽きます。経済活動を止めないことも大切ですが、命を守る行動をしっかりと取っていきましょう。

T:いずれにせよ飲食店などの外食産業にとっては、まだしばらくは厳しい状況が続きそうですね。

神様:外食産業には、今とある変化が訪れています。今日はその話をしましょう。まず、日本フードサービス協会による日本の外食産業の市場規模を見てみましょう。

T:1980年から1990年にかけては右肩上がりで市場規模が伸びていますが、その後は横ばいか減少に転じていますね。

神様:はい。日本の外食産業は長年伸び悩みが続いています。人口が減少する中、長引くデフレで販売価格が抑制されたことが要因です。そして、コロナ禍により消費者の行動自粛があり、自治体からは休業や営業時間の短縮などの要請がありました。業界全体が大きな影響を受けることとなりました。

T:個人営業のお店では、店主の高齢化や後継者がいないことによる閉店などもありましたね。

神様:経営者の高齢化は、日本の社会全体に言えることで大きな課題です。さて一方で、世界に視野を広げると人口は増加傾向にあります。Tさんは、現在世界の人口がどのくらいか、ご存知ですか?

T:確か、70億人くらいですか?

神様:世界人口白書2021によると、2021年の世界人口は78憶7500万人でした。国連によれば2050年には90億人を超えると予測されています。

T:90億人!日本の状況とは大きく異なりますね。

神様:人口が伸びていく中で、世界の経済成長率の見通しも日本より相対的に高い傾向にあります。農林水産省の試算によれば、外食を含む2030年の飲食料の世界市場規模は、2015年比で約1.5倍となる1,360兆円を見込んでいます。

T:これはつまり、国内より海外市場の方が外食産業にとっては魅力的ということですか?

神様:海外事業を展開している企業にとってはチャンスと言えるでしょう。穀物価格や食用油などの原材料価格の上昇は、外食産業にとってコスト上昇要因となります。また円安基調も、国内で事業展開する企業にとってはデメリットのひとつです。その一方で、世界各国では経済成長を背景に値上げが容認されやすい傾向にあります。原材料価格の上昇も販売価格への転嫁をしやすいと言えます。さらに、海外で事業を強化している企業ほど、海外子会社などの業績は円安による押上げ効果も期待できるでしょう。日本の外食企業は、この機会に海外展開を加速していると言えます。

T:なるほど。見方を変えれば、外食産業が海外に羽ばたくチャンスと言えるわけですね。コロナ禍を乗り越え、海外事業を強化することが外食企業の打開策となることを期待したいと思います。

(この項終わり。次回8/10掲載予定)

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