ロシア高官、停戦言及で揺さぶり=「成果」と「出口」模索―ウクライナ侵攻4カ月

 ロシアが侵攻したウクライナで激しい地上戦が続く中、ロシアのプーチン大統領に影響力を持つ最側近のパトルシェフ安全保障会議書記が「軍事行動停止」の可能性に言及した。ウクライナ侵攻開始から24日で4カ月。戦闘が長期化すれば国民の厭戦(えんせん)気分が高まりかねず、東部ドンバス地方の制圧という「成果」とともに「出口」を模索しているもようだ。
 ◇泥沼化の恐れ
 ウクライナ側は徹底抗戦し、欧米が供与した重火器が前線に順次到着している。侵攻前の防衛ラインに戻すことを当面の「勝利」の目標に掲げており、戦況が泥沼化する恐れもある。
 パトルシェフ氏は15日、新興5カ国(BRICS)の会合で「ロシアは速やかに政治・外交を通じて合意に達し、軍事行動を止めることに関心がある」と表明。「両国間の交渉は(米英の意向を背景に)ウクライナ側が凍結させた」と主張した。態度を硬化させるウクライナのゼレンスキー政権を揺さぶる狙いがあるとみられる。
 ウクライナのポドリャク大統領府顧問は16日、パトルシェフ氏の発言について「負け戦でロシアが見せる古典的な顔だ」とツイッターで指摘。言葉は行動で示さなければならないとし、「戦闘の停止、部隊の即時撤収、『ロシア世界』をつくる企ての撤回」を迫った。
 ◇交渉「8月再開」も
 停戦交渉についてゼレンスキー政権は、地上戦で劣勢を挽回できる時期を待ち、有利な条件を整えたい考えだ。交渉代表団を率いるアラハミア最高会議(議会)議員は、米政府系放送局に「8月」というタイミングを挙げた。
 一方、首都キーウ(キエフ)の短期制圧に失敗したロシア軍にとって、ゼレンスキー政権の排除は非現実的。まずは親ロシア派支配地域を広げるのが至上命令だ。プーチン氏は21日の演説で「(将兵は)ドンバス地方をネオナチから守っている」と述べており、当面の目標を東部制圧に絞っているとみられる。
 ウクライナ側の「8月交渉再開論」に対し、ロシアのメドベージェフ前首相は18日、通信アプリで「交渉のテーマと、相手が存在するかが問題だ」と一蹴。それまでにゼレンスキー政権を弱体化させるという強硬姿勢を見せた。
 ◇戦争支持は低下
 独立系世論調査機関レバダ・センターによると、ウクライナ侵攻に関心を持つロシア国民は、3月の64%から5月は56%に下がった。国民の支持も期待できなくなれば、プーチン政権はどこかで「出口」を見いだす必要が出てくる。
 18日のロイター通信によると、昨年のノーベル平和賞を受賞した独立系紙編集長のドミトリー・ムラトフ氏は、モスクワでウクライナ侵攻のシンボル「Zマーク」が見られなくなったと指摘。ロシア国民の間で戦争への支持が低下しているという見方を示した。(時事)。 
〔写真説明〕ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記(左)とプーチン大統領=2015年5月、モスクワ(AFP時事)


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