第306話 需給ひっ迫いつまで続く?半導体業界の今後を見る

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、下町の喫茶店で投資談義を行っています。


T:6月10日から約2年ぶりに外国人観光客の受け入れが再開されましたね。観光地に再び賑わいが戻ってくるのが楽しみです。

神様:新型コロナウイルスのパンデミックから回復に向かっていることはうれしいことです。

T:また、7月10日には参議院選挙が行われます。経済活動はコロナ禍から回復に向かっているように見えますが、一方でロシアによるウクライナ侵攻など世界情勢は不安定化しています。日本でも物価が高騰する中で、国民がどのような意思表示をするのかが注目されますね。

神様:日本は世界でも類を見ないほどの少子高齢化という、大きな課題に立ち向かっています。AIやIoTの活用といったデジタル施策は豊かな暮らしのためにも求められています。さて、今日は半導体業界の動向について見てみましょう。

T:前回は昨年の12月でした(第280話 日本半導体産業の復活なるか 世界の”変化の兆し”に注目)が、世界的にDX、デジタル化が進む中で、半導体不足が深刻化している状況が続いています。今後はこの状況が変化するのでしょうか?

神様:まず半導体市場の動向についてお話します。6月7日、世界半導体市場統計(WSTS)は2022年の世界半導体市場について前年比で16.3%増となる6,464億ドル日本円で約84兆320億円と予測しました。前回2021年11月の予測では、2022年は6,014億ドルでしたので、6月の予測でさらに引き上げられたことになります。また2023年は、前年比で5.1%増の6,796億ドル、約88兆3,480億円と予測しています。

T:今後も高い成長が続きそうですね。

神様:コロナ禍では、リモートワークやゲームなどの在宅需要が拡大しました。また、5Gの普及によりデータ通信が増大し、通信インフラ投資も拡大しています。今後は世界経済が正常化に向かう中で、AI、IoTの進展、電気自動車(EV)や自動運転などの先進運転支援システムといった自動車の電装化、そしてグリーン・デジタルと言われる脱炭素・再生エネルギーへの取り組みなどの分野で半導体の重要性が高まっていくでしょう。

T:今後はゲームなどの在宅需要はひと段落するのでしょうね。

神様:そうとも限りません。最近では仮想空間サービスである「メタバース」に関連する技術開発が活発に行われています。巣ごもりか否かに関わらず、今後は新たな日常空間としてメタバースが浸透してくるかもしれません。もちろん、こちらにも半導体は欠かせません。

T:前回のお話でもありましたが、米国や日本でサプライチェーン(供給網)に変化が訪れている(第280話 日本半導体産業の復活なるか 世界の”変化の兆し”に注目)ということでしたが、今後も半導体のひっ迫状況は続くのでしょうか?

神様:結論から言いますと、まだしばらくはひっ迫する状況が続くでしょう。世界中の高い半導体への需要を受け、大手の半導体メーカーはこぞって生産能力の増強に動いています。シリコンウエハメーカーの増産体制が整い始めるのは2023年以降との見込みです。そのため、2022年から2023年にかけては半導体需要のひっ迫状況が続くと思われます。

T:なるほど。逆に言えば、2023年以降で半導体が供給される体制が整い始めれば、状況は変化するかもしれませんね。

神様:その通りです。半導体の素材や製造装置の分野では日本のメーカーの存在を必要不可欠とする製品が数多く存在します。世界的に半導体の獲得競争が加速する中で、そういった企業にもビジネスチャンスの広がりが期待されるでしょう。

T:かつての日本のように、半導体分野で世界を引っ張っていくチャンスが訪れるかもしれません。私もそんな気持ちで半導体に関わる企業を応援したいと思います。

(この項終わり。次回6/29掲載予定)

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