第304話 コロナ禍も影響?少子化でも生徒数が増える高校とは

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内の和食店で昼食を取りながら投資談義を行っています。


神様:日本では、少子化を背景に高等学校の生徒数が減少の一途をたどっています。しかし一方で今、生徒数が伸びている高校があります。それがどのような学校かご存知ですか?

T:え、そんな学校があるのですか?

神様:はい。それは「通信制高校」です。

T:なるほど。確かに、近年は民間企業による新しい通信制高校が設立されているようですし、生徒数も伸びているのですね。

神様:文部科学省の「学校基本調査」によると、全日制・定時制高校の生徒数の推移は、1990年をピークに減少傾向となっています。「高等学校の生徒数」のグラフを見ると、1990年でおよそ550万人超のところ、2021年にはおよそ300万人まで減少していることがわかります。一方で、通信制高校では増加基調です。1990年にはおよそ15万人超でしたが、2021年には20万人を超えました。

T:減少幅に比べると小さな増加幅ではありますが、確かに増えていますね。

神様:特に伸びているのが私立の広域通信制高等学校です。これは地域にとらわれず、全国から生徒を募集している高等学校を言います。

T:通信制高校とは、どのような規定になっているのでしょうか?

神様:通信制高校とは、全日制・定時制高校のように毎日学校へ登校する必要はなく、レポートやテストについては郵送やインターネットを活用し、単位を取得する学校です。もともとは戦後、就業などのために全日制に進学できない青年に後期中等教育の機会を提供すべく、定時制高校とともに制度化されました。しかし現在は高校全入の時代です。通信制高校が選ばれる理由も変化しています。自分のライフスタイルに合わせて自分のペースで勉強したい人、夢を追いかけたりしながら学習したい人のほか、不登校や中途退学の経験者、特別な支援を必要とする生徒、経済的な困難を抱える生徒など、通信制高校には全日制や定時制高校で学ぶことが難しい多様な背景を抱えた生徒が在籍しています。

T:通信制高校の年齢別の生徒数を見ると、直近に近づくほど、15歳から18歳の生徒が増えており、通信制高校が多様な高校の選択肢のひとつとなっていることがわかります。しかし、自分自身で学習計画を立て、計画的に勉強していかなければいけないですし、部活や学校行事に参加することが少なくなり、他の生徒とのコミュニケーションも取りにくい点はデメリットですね。

神様:確かにその通りです。しかし、2020年以降でのコロナ禍が大きな影響を与えました。オンライン授業が多く行われた中、すでにオンライン教育の環境が整っていた通信制高校への関心はさらに高まることとなりました。今後はますます多様な選択肢のひとつとして通信制高校が受け入れられることになるでしょう。Tさんは、社会人向けの学習塾や大学などの通信教育を受けたことはありますか?最近の教材はインターネットを活用し、実にうまく学習理解を助けるように工夫されていることがわかります。

T:私も少し見たことがありますが、確かにわかりやすいと感じました。コンテンツやサポート体制が充実していれば、個々の学習速度が異なっていても柔軟に対応できる環境があり、とても快適な場だと思います。

神様:教育の多様性への対応を進めることは大切なことです。一方で課題としては、教育サービスを提供する通信制高校が不適切な学校運営をせず、全日制や定時制高校と同様の目的・目標のもとに高等学校教育を行うことです。生徒一人ひとりに対してきちんと教育ができているか、単位を取得しながら、社会で生きていくために必要となる力、社会の発展に貢献できる力を身につけられるような学校運営ができるか、といった点はおろそかになってはいけません。適切な学校運営が通信制高校の発展の鍵となるでしょう。

T:今後の通信制高校の発展のためには、今一度高校教育の本質を考え、より良い学校運営をしていくことが大切ですね。

(この項終わり。次回6/15掲載予定)

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