首都高 長大橋も老朽化深刻 「荒川湾岸橋」の下で見た、華麗な橋ゆえの悩み

首都高の老朽化は、初期の都心部路線だけでなく、湾岸線でも進んでいます。今回は首都高で4番目に長い橋「荒川湾岸橋」に潜入。深刻な損傷状況を実見しました。

「東京タワーの3倍以上の構造物」で話題になった橋

 首都高速道路は2022年5月20日(金)、老朽化が進行している「荒川湾岸橋」の損傷状況を報道陣へ公開しました。

 首都高は開通から半世紀以上を経て老朽化が進行し、各所で大規模な修繕や「作り替え」が行われています。それら箇所は約10年前の有識者会議を経て決定したもので、多くは都心部を中心とした初期の路線です。それから10年、湾岸線のような後からできた路線でも、老朽化が深刻となっています。 今回の荒川湾岸橋は湾岸線の新木場~葛西JCT間にあり、長さ840mで荒川の河口をまたいでいます。首都高では鶴見つばさ橋、レインボーブリッジ、横浜ベイブリッジに次ぐ4番目の長さ。およそ1700もの部材を斜めに組み合わせて構成したトラス形式のシンボリックな橋です。もっとも、完成後にJR京葉線の橋と国道357号の橋が並行して架かったため、現在は外からその姿は見えにくくなっています。 荒川湾岸橋の開通は1978(昭和53)年。1975(昭和50)年の橋桁架設からすでに47年が経過しています。水深が深く船の通行も多かったことなどの制約から、この橋は、基礎と一体構造の橋脚、そしてトラスの橋桁も、別の場所で組み上げてから現地へ船で運んで設置したそう。東京タワー3倍以上の重さという総鋼重1万3500トンの橋を、複数回の海上運搬で作り上げていく様は、話題になったといいます。 しかし今、そうしたシンボリックなトラス橋ゆえに深刻な損傷が多く発生しているほか、維持管理上の“悩み”も抱えているようです。

ボルト抜けちゃってる! 橋桁の下部で見た!

 今回は荒川湾岸橋の内部に設けられた補修のための吊り足場にて、東京側から橋の中ほどまで見学しました。H型の鋼材が、タテ・ヨコ・ナナメあらゆる方向に組まれた空間は圧巻のひとことですが、ところどころ、塗装の剥がれが目立ちました。 なかには、トラス部材どうしをつなぐガセットプレートと呼ばれる板が腐食し、剥がれてしまった箇所も。この橋は潮風の影響を受けるうえ、水が溜まりやすい箇所で鋼材が膨張し、さらには破断に至るといった事象が発生しているといいます。 鋼材をつなぐ高力ボルトも錆びたものがかなり多く、あまりに腐食が進み、抜け落ちている箇所もありました。この区間は1日16万台が通行する首都高でも指折りの重交通区間であり、1本でもボルトが欠損すれば、他のボルトに大きな負荷がかかるといいます。 荒川湾岸橋は、こうした亀裂や破断といった深刻な損傷が376か所見つかっているといいます。もちろんこうした箇所は、日常的な点検で補修されますが、塗装の剥がれも含め、近年目立って増えているのだとか。

 一方で河川上のため、点検補修でもアクセスが困難。さらに部材数が多いため、足場設置なども大規模になるといいます。首都高速道路のスタッフは「非効率」という言葉を多く使っていましたが、これだけ部材が多いため、損傷が一気に増えてくると、手に負えなくなる側面があるわけです。 首都高速道路 保全・交通部長の岡田知朗さんによると、現在、有識者と検討を進めている大規模更新・大規模修繕の選定においても、荒川湾岸橋の優先度は高いといいます。架け替えはしないものの、大規模な修繕を行うとともに、日常的な維持管理をしやすくする対策を検討していくということです。


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