
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、暖かい日差しが注ぐ公園を散歩しながら投資談義を行っています。
T:ウクライナ情勢が深刻化しています。日経平均も乱高下しており、各国の動きを注視する局面が続きそうですね。
神様:投資家のリスク回避姿勢も強まっています。今後もウクライナ情勢は刻一刻と変化しますので、当面は関連する報道に左右されて株価の振れ幅が広がり、物色対象が日々変わる展開が想定されます。しかし一方で、ウクライナ情勢が沈静化へ向かえば、株価の反発も強くなるとの予測もあります。
T:国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、ウクライナから避難した人の数が150万人以上となり、欧州では第二次世界大戦以降で最も早いペースであるとのことですね。
神様:まさに第二次世界大戦以来の危機であり、これ以上の被害が増えないよう、世界が連携して取り組まなければなりません。グローバル化が進む中で、世界中の国々が試されているときであると思います。
T:このロシアによるウクライナ侵攻では「情報戦」の面も注目されていますね。日本でもSNSを中心に、フェイクニュースやプロパガンダなど、マスメディアから発信される以外の情報を個々人で取捨選択し、何が正しい情報なのかを判断することが当たり前になっています。
神様:おっしゃる通りです。ウクライナをはじめ、各国や国連の関係者がSNSで直接情報を発信し、それをメディアが追う姿があります。また、サイバー空間では正体不明のハッカーによる様々な国、団体への攻撃が増加しています。経済産業省は2月23日、企業や団体に対するサイバー攻撃への脅威を認識し、セキュリティ対策を強化するよう注意喚起しました。サイバーセキュリティ面においては、この侵攻をきっかけに大きな変化が訪れたと言えます。
T:匿名のハッカー集団であるアノニマスがロシアへのサイバー攻撃を宣言したほか、日本では3月1日、サプライヤーへのサイバー攻撃を背景にトヨタ自動車が国内全工場の生産停止に追い込まれました。サイバーセキュリティのさらなる強化が喫緊の課題となる、ということですね。
神様:その通りです。日本セキュリティネットワーク協会は、2021年度の国内情報セキュリティ市場規模をツールとサービスの合算で1兆2,127億円と予測しています。ここで言う「ツール」とはウイルス対策ソフト、ファイアウォールや個人認証用デバイスなどのソフトやハードを提供すること、「サービス」とはコンサルティング、インシデント対応、電子証明書の発行やリテラシー教育などのサービスを提供することを言います。

T:私たちが話してきたように、世界中でDX、デジタル化が進み、その動きはコロナ禍で加速しています。在宅勤務も増えている中、本物と見分けにくい巧妙ななりすましメールやフィッシング詐欺も心配ですね。
神様:在宅勤務では特に、ネットワーク端末、つまり在宅で使用するパソコンにおけるセキュリティ不足が問題となっています。インターネット経由で行うオフィスネットワークへのアクセスや、私用端末の利用などへのセキュリティ対策が最大の課題です。今後は、5Gの活用が進み、IoT機器の利用が拡大することが予想されます。ネットワークセキュリティに対する重要性はさらに高まることになるでしょう。実際に、IoT機器を狙ったサイバー攻撃も近年は急速に伸びています。

T:IoTでは自動運転の実現が期待されますが、確かに非常事態下でも正常に機能するものなのか不安ですね。
神様:自動運転では交通インフラにおいて通信技術の活用が進むことが見込まれます。もちろん、サイバー攻撃にあっても動じないセキュリティ対策が必須となります。今後のサイバーセキュリティ市場の意義がさらに大きくなり拡大するに伴い、関連企業の活躍が期待されるでしょう。
T:日常の平和を守るためのサイバーセキュリティ対策に期待したいと思います。
(この項終わり。次回3/23掲載予定)
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