燃料価格、世界的に高騰=電力不足で不安拡大

 【ロンドン時事】エネルギー価格が世界的に高騰している。天然ガスや石炭を燃料に使う火力発電需要の急増が背景にある。原油は約7年ぶりの高値を更新。北半球で暖房利用が本格化する冬の訪れを前に、電力不足による停電や電気料金の引き上げが相次ぐありさまだ。
 再生可能エネルギーへの移行や脱炭素社会の実現が叫ばれる中、世界が化石燃料に深く依存していることが改めて浮き彫りとなった。
 天然ガス価格はアジアや欧州で1年前の約8~10倍に跳ね上がった。石炭は中国で史上最高値を付けた。中国やインドは石炭火力発電に依存しており、石炭在庫が不足するのではないかという不安が広がっている。
 火力発電の燃料を価格が急騰した天然ガスから石油などに切り替える動きも見られる。その影響で需要が増えた原油相場も上昇。代表的な指標の米国産WTI原油先物は一時1バレル=82ドル台と、2014年10月以来の高値水準を記録した。
 火力発電の需要が増えた要因は複合的だ。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた世界経済の急速な回復に加え、今年初頭に北半球で厳冬が続き、燃料在庫が減少。夏場は欧州で風の弱い日が多く、風力発電量が落ち込んだ。ブラジルでは干ばつの影響で水力発電が振るわなかった。
 中国では電力不足から多くの工場が操業を一時停止。電力を大量消費する鉄鋼業やアルミ産業は減産を余儀なくされた。インドでも計画外の停電が企業を直撃。欧州では電力料金が数倍に上昇し、各国政府が対応に追われている。
 米資産運用大手ピムコの幹部は「今年下半期に経済が迅速に正常化するという期待はしぼんだ」と述べ、燃料高騰が世界経済の新たな逆風になっていると指摘した。 
〔写真説明〕中国浙江省の火力発電所=7月(AFP時事)


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