地方創生、賃上げが柱=都市部の人材呼び込み狙う―中小企業は反発・骨太原案

 政府が9日示した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」の原案は、東京一極集中を是正して地方に人材を呼び込むため、最低賃金の引き上げを地方創生の柱に据えた。新型コロナウイルス感染の収束後を見据え、日本経済の持続的成長を目指す狙いもある。ただ、コロナ禍の長期化で経営が厳しい中小企業からは、強引な賃上げは雇用を破壊すると反発が強まっている。
 原案では最低賃金について「地域間格差にも配慮しながら、より早期に全国加重平均1000円とすることを目指し、本年の引き上げに取り組む」と明記した。安倍前政権が進めた賃上げの流れを継続したい考えで、引き上げ幅は感染拡大前の2019年度まで4年連続3%以上という「実績」を踏まえて対応するよう求めた。
 20年度の全国平均の最低賃金は902円。日本の水準が欧米と比べて低いことも早期引き上げの根拠に挙げた。
 最低賃金は、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が毎年夏に出す答申を参考に都道府県ごとに決める。20年度は最も高い東京都の1013円に対し、最低の秋田、鳥取、島根、高知、佐賀、大分、沖縄の7県は792円と開きがある。原案では、テレワーク拡大で若年層を中心に地方移住への関心が高まる中、地方の賃金底上げで移住加速を目指す方針を示した。
 ただ、日本商工会議所など中小企業団体は「中小企業の経営実態を超える大幅引き上げは失業者を発生させる」と真っ向から反対し、21年度は「現行水準の維持」を求める。三村明夫日商会頭は4日の菅義偉首相への陳情後、記者団に「最低賃金引き上げは必死に頑張っている宿泊・飲食業に悪いメッセージを与える」と訴えた。
 日本の賃金水準が上がらない背景には、1人の就業者が生む付加価値(労働生産性)の長期低迷がある。日本の1人当たりの生産性(19年時点)は経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国中26位で、米国の6割弱にとどまる。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「最低賃金引き上げの環境をつくるため、まずは経済全体の生産性向上に政策の重点を置くべきだ」と指摘する。 

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