第253話 少子化にコロナ禍…試される学習塾業界の行方

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、リモートでの投資談義を行っています。


神様:5月5日は「こどもの日」です。総務省では毎年、この日にちなんでこどもに関する統計資料を発表しています。

T:ニュースでも報道されていましたね。2021年4月1日現在における15歳未満のこどもの数は、前年に比べて19万人少ない1493万人で、40年連続の減少だそうです。

神様:こどもの割合は11.9%で47年連続の低下です。これは人口が4000万人以上の諸外国と比較すると、日本が最も低い水準です。改めて、日本の少子化が世界に類を見ないペースで進んでいることが浮き彫りになりました。

T:政府の少子化対策も打つ手なしということでしょうか。

神様:政府は昨年の5月、今後の少子化対策の指針となる「少子化社会対策大綱」を閣議決定しました。少子化の背景には、未婚化や晩婚化、有配偶出生率の低下など、結婚して子どもを産み育てることに対して希望が持ちづらい社会の現状があります。

T:働き方改革や男女共同参画社会の実現など、これまでの”日本の常識”が大きく見直され、改善していこうとしている中に我々はいますが、少子化対策には長い時間がかかりそうですね。

神様:少子化は様々な業界に影響を及ぼします。今日は学習塾について見てみましょう。

T:そう言えば、日本の少子化は40年前から続いてきましたが、学習塾に通う子どもも同じように減少し続けてきたのでしょうか?

神様:いい質問ですね。2004年以降の学習塾市場の推移を見てみると、幼稚園から高等学校までの生徒数は右肩下がりで減少していますが、学習塾の受講生数は2019年まで拡大し続けてきました。背景には、教育意欲の向上や家庭での子ども1人に対する投資金額の増加などがあると考えられています。

T:すごいですね。教育格差の問題でもありますが、昨今の親が、子どもの学力や学歴は教育へどれだけ投資できるかが重要であると考えている証左でもありますね。

神様:しかし、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により学習塾業界も大きなダメージを受けました。休校を余儀なくされた学習塾も多くありました。その結果、2020年の学習塾市場は売上高、受講生数ともに減少する結果となっています。

T:私の息子が通っている塾もそうでした。昨年の1回目の緊急事態宣言時では校舎が使えない日々が続き、休校だけでなく閉校の危機も噂されるほどで、その後、オンライン会議システムを使ったリモート授業を実施するようになりました。

神様:今後の学習塾は、感染症対策を徹底し、さらにオンライン授業への対応や密を避けるための少人数、個別指導の展開が生き残るキーポイントとなるでしょう。必要となる講師数は増えますが、逆に考えれば生徒の多様なニーズに応えることができるようになります。かゆい所に手が届くような質の高い指導を実現することで生徒数を増やすこともできるでしょう。実際、講師の採用を積極的に行っている学習塾を多く見かけます。

T:なるほど。学習塾にとっては大きな方針の転換となりますね。

神様:2020年に入り学習塾業務を営む事業者数は減少しています。しかし一方で、昨今の大学入試改革や新学習指導要領など学校現場では大きな変化が起こっており学習塾の果たせる役割は大きいと言えます。この状況をどのように捉えているか、個々の学習塾の姿勢をしっかり見ましょう。アフターコロナでは、感染症対策など、新しい生活様式にしっかり対応できている学習塾への集約が進み、業績の回復につながると考えます。

(この項終わり。次回5/26掲載予定)

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