第245話 経済活動の正常化に期待 プラスチック市況が上昇

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、丸の内にあるカフェで投資談義を行っています。


T:新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきましたね。2月28日には大阪、兵庫、京都、そして愛知、岐阜、福岡の6府県で緊急事態宣言が解除されました。東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県は解除が延期となりましたが、解除までもう一息といったところでしょうか。

神様:まだまだ分かりませんよ。専門家の話では今冬も警戒が必要とのことで、今年も息の長い取り組みが必要でしょう。

T:2月から医療従事者向けにワクチン接種が始まりましたし、4月には高齢者向けの接種が始まります。ワクチン接種は着実に進んでいますが、経済活動についてはどうでしょうか?

神様:日経平均株価は3万円を割り、一時株価の変動が大きくなりましたが、米国も含め、株安は一時的なものだと思われます。現在、国内景気は景気回復の入り口にあり、今後は景気拡大期に入るでしょう。さて、これまで経済活動の回復の“兆候”をいくつか見てきたことを覚えていますか?

T:昨年の11月には、塩ビ樹脂の出荷に回復の兆しが見られること(第227話 海外インフラ整備増 塩ビ樹脂出荷に回復の兆し)、そして12月には、原油と銅の市況が回復していること(第233話 世界が「ワクチン」に期待 いま“追い風“の業界は?)についてお聞きしたことを覚えています。

神様:さすが、よく覚えていますね。それでは今日は、合成樹脂の市況が上昇傾向にあることをお話しましょう。

T:合成樹脂とは、プラスチックの総称と考えて良いでしょうか?

神様:おおよそそうですね。合成樹脂にも様々な種類がありますが、今回は低密度ポリエチレン(LDPE)とポリプロピレン(PP)について見てみます。東アジア地区の低密度ポリエチレンとポリプロピレンの価格を見ると、どちらも2020年の4月が底でしたが、その後は右肩上がりで上昇し、今年2月には低密度ポリエチレンは約6年4カ月ぶり、ポリプロピレンは約2年3カ月ぶりの高水準となりました。

T:低密度ポリエチレンとポリプロピレンは具体的には何に用いられているのでしょうか?

神様:レジ袋や容器、自動車部材や家電部材など、幅広く使われています。例えば、低密度ポリエチレンは、ラップフィルム、食品チューブなどの包装材や農業用フィルム、電線被覆など。ポリプロピレンは、自動車部材、家電部材、包装フィルム、食品容器、キャップ、トレーなど、実に多様な用途です。

T:これらの価格が上昇するということは、需要回復への期待が高いということですね。

神様:その通りです。経済活動の正常化に向けて需要回復への期待が高まっています。また、合成樹脂の原料となるナフサの高騰も要因です。低密度ポリエチレンなどの基礎原料となるエチレンの国内生産量は昨年6月が底でした。その後は回復し、エチレンの設備稼働率も右肩上がりで上昇を続け、今年1月にはほぼフル稼働まで戻っています。この状況を受けて、合成樹脂を製造する化学メーカーは値上げを打ち出しています。

T:なるほど。今後は化学メーカーや合成樹脂の販売を担う化学品商社などの業績拡大が期待できそうですね。このまま順調に経済活動の正常化が進み、多くの企業の業績に貢献することを期待したいです。

(この項終わり。次回3/24掲載予定)

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