【J1展望】“レヴィー・イズム”はチームをどう変えるか? 8年ぶり復帰の指揮官は「攻めるサッカーを見せたい」|C大阪

 今シーズンのセレッソ大阪は指揮官を代え、選手も大幅に入れ替えた。AFCチャンピオンズリーグや東京五輪もあり、日程は過密。リスクも承知の上で攻めの姿勢に出た格好だが、それはピッチ内での狙いも同様だ。

 ミゲル・アンヘル・ロティーナ前監督が率いたチームは、2019シーズンに5位、2020シーズンに4位と、着実に成果を挙げていた。体制を継続させれば、大崩れの心配はなかっただろう。ただし、フロントは得点数や攻撃力の向上を目指し、指揮官交代を決断した。かつてC大阪で一時代を築いたレヴィー・クルピ監督を招聘。チーム始動会見でも「ワクワクするエンターテインメントを提供する」(森島寛晃代表取締役社長)「攻めるサッカーを見せたい」(クルピ監督)といった言葉が並ぶなど、1点で満足するのではなく2点、3点と畳み掛ける“攻撃サッカー”へ回帰する姿勢を明確にした。

 宮崎キャンプの練習試合では、早速そんな“レヴィー・イズム”とも言うべき攻撃的なサッカーが展開された。公開された3試合はいずれも複数得点(vs徳島ヴォルティス2〇1、vsFC町田ゼルビア2△2、vsファジアーノ岡山8〇4)を挙げており、チャンスの数も多かった。「『前に、前に』という声は、練習からも多く出ています。パスが来る回数も多い」と、岡山戦でハットトリックを達成した豊川雄太も話すように、ボール保持の際は縦への意識が強く、ボールを奪ってからシュートに至る時間も昨シーズンより速い。両サイドバックを務める松田陸と丸橋祐介のクロスの意識も高く、相手の守備陣形が整わないうちに上げきる場面も目立った。後ろからつなぎ、詰まったらサイドを変えつつ打開の糸口を図っていたロティーナ体制のベースも残しつつ、今シーズンはより縦やダイレクトの意識が高まっている。

 守備に関しても、変化は見られている。練習試合ということもあり、意図的にチャレンジしていた部分もあったにせよ、ボールを失った際のプレスの意識が昨シーズンと比べて強い。攻撃から守備の切り替えでは、即時奪回よりも帰陣を速くしてポジションを取ることを優先していた昨シーズンと比較すると、「(前で)奪い返して2次、3次攻撃につなげる」(坂元達裕)意識は高まっている。実際、徳島戦や岡山戦では相手のコートで試合を進める時間帯が多かった。前に比重が傾く分、プレスをかいくぐられた時の連動性や背後のケアなど、詰めるべき課題も残されているが、相手との兼ね合いや試合の状況次第では、割りきって4-4-2でブロックを組む守備も選択肢に入っている。その辺りは、臨機応変に対応していくだろう。攻守ともに積極的に主導権を奪いにいくやり方に舵を切った今シーズンのC大阪。エキサイティングな場面が増えることは間違いない。

【KEY PLAYER】17 坂元達裕

 より縦やダイレクトの意識が高まっていることに加え、攻撃時のもうひとつの変化が、ポジショニングと選手同士の距離感だ。

 練習試合で、特に2列目の選手は攻撃時に立ち位置を固定することなく動く姿が目についた。“ポジションを自由に入れ替えつつ、個々のイマジネーションを生かした崩し”はかつての“レヴィー・セレッソ”でも武器にしていたスタイルだが、8年ぶりの就任となった今シーズンも「自由な発想でプレーしてほしい」と、指揮官は2列目の選手の動きに制限をかけていない。

 なかでもキーマンになりそうなのが、昨シーズンのリーグ戦でもブレイクし、今シーズンはさらなるステップアップが期待される坂元達裕だ。徳島との練習試合でも、スタート時は2列目の右に配置されつつ、時に中央へと絞り、トップ下の清武弘嗣と近い距離で崩しに関わる場面も見られた。「昨シーズンは外に張って仕掛けるシーンが多く、アシストはできたけどゴールは少なかった。今年はより中でもプレーして、アシストはもちろんゴールに向かう意識も増やしていきたいです」と、今シーズンの抱負を語る坂元の進化が攻撃全体の破壊力にも直結するだろう。

 オフ・ザ・ピッチでは柔和な顔つきで穏やかな空気を醸し出す優男だが、いざピッチに入ると「人が変わる」と主将の清武も認めるファイターに変貌する。「大事な場面、試合の勝ち負けを左右する局面で絶対的な仕事ができる選手になりたい。目標は10ゴール・10アシスト以上ですね」と公言する彼がより“怖さ”を身につけた時、チームはさらなる高みへ向かう。

文=小田尚史

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