テレワークの費用について明らかになった国税の見解を元国税の税理士が解説

税務上、会社の経費として認められる支出は、言うまでもないことですが「事業に関する」ものです。このため、役員や従業員の「個人的な」費用は経費として認められません。結果として、自宅の電気代や、私用でも使う携帯電話の料金を経費とすることはできません。
しかし、世界に恐怖を与えているコロナ禍は、この当然のルールについても、見直しを余儀なくさせています。というのも、コロナ禍で人との接触を極力避けるべきとされることから、テレワークが普及することになったからです。
テレワーク、すなわちインターネットを経由して在宅勤務をすることは、まさに「事業に関する」ことです。このため、自宅で勤務することで追加的に発生する費用については当然に経費になるはずで、この取扱いの明確化が求められていました。

■テレワークの補助と税務の常識

ここで問題になることが二つあります。一つは、税務の大原則として、事業とプライベートの両方に共通する費用は、原則として経費にならないという取扱いがあることです。典型例として、スーツなどの衣服費があります。スーツはビジネスに関係する費用ですが、プライベートの冠婚葬祭の際も使えるものですから、事業とプライベート、両方に関係するものです。このことを踏まえ、税務上スーツの購入費用は経費にならないとされます。

もう一つは、住宅手当など、現金を従業員等に渡す場合には、給与として取り扱われることです。テレワークの費用は、基本的には従業員等が払った費用のうち、一部を会社が補助するということになるはずで、テレワーク手当、のような形で現金で支給することが多いでしょう。となると、給与として課税されることになりますから、税務の大原則としては、テレワークの補助を出すことが難しいのです。

■国税の見解が出された

このような問題があったのですが、先日、国税がテレワークの補助について、Q&Aを公開しました。そこでは、テレワークに係る費用のうち、通信費や電気料金について、実費精算方式で精算するのであれば、非課税で支給できると解説されています。実費精算なら手当ではありませんので、給与として課税されることもない、という理屈になります。

なお、ここでいう実費精算方式ですが、例えば電話料金はプライベートにも使いますので、事業と区分する合理的と認められる計算式で計算した金額だけ精算することとすれば、それが認められることになるようです。

この取扱いを前提とすれば、広範な在宅勤務の費用が経費として認められることになります。計算式など、国税庁ホームページで公開されていますので、参考にしてください。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。税務調査対策術を無料で公開中。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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