「首相案件」、懸念置き去り=国旗損壊、自民提出急ぐ

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 日本国旗を傷つける行為を罰する「国旗損壊罪」制定へ、自民党が法案骨子をまとめた。高市早苗首相の「肝煎り」でもあり、執行部は6月前半の国会提出を目指して条文化を急ぐ。ただ、憲法が保障する思想・良心の自由や表現の自由が侵害される懸念は拭えず、野党は法案審議で徹底追及する構えだ。
 「国旗を大切に思う方々が不快に思うことがないよう守っていきたい」。党プロジェクトチーム(PT)の松野博一座長は22日、骨子が大筋で了承されると記者団にこう強調した。
 骨子は、公の場での損壊や自身が損壊した様子の配信を処罰する内容。意図や目的は考慮せず、「著しく不快または嫌悪の情を催させる方法」かどうかを外形的に判断する。違反した場合は、2年以下の拘禁刑か20万円以下の罰金が科される。
 15日の会合では「過剰規制だ」などと慎重論が続出。22日の説明資料には「アニメ・漫画・ゲーム、生成AI(人工知能)等による創作物」と、「実物を用いた実写映画等の芸術的表現で、社会通念上相当と認められるもの」は対象外との記述が加えられた。文化・芸術への目配りをアピールして議論を収束させた形だが、政治的表現への配慮はなお不明確だ。
 国会審議ではそもそも法律が必要なのかどうかも論点となりそうだ。骨子は立法目的を「国旗を大切に思う国民感情の保護」と位置付けた。損壊事案が多発しているとは言えない中で法整備を目指す理由については、「将来に向かって抑止する」としている。
 中道改革連合の小川淳也代表は22日の記者会見で、「表現活動や自由、人権を過剰に制約することには慎重な立場だ」とけん制。共産党の山添拓政策委員長は「国旗を大切に思わない国民がいても問題はない」とした上で、「処罰の判断が恣意(しい)的になる恐れが強い。処罰の根拠、対象行為も曖昧だ」と批判した。
 損壊罪創設は首相の宿願で、日本維新の会との連立政権合意にも明記された。22日のPTは首相に近い議員が出席を呼び掛けたこともあり、意見表明した17人のうち16人が賛意を示した。だが会合後、出席者からは「本来は良識の範囲の話」「権利と制約のバランスはこれでいいのか」といった疑問が漏れた。 
〔写真説明〕日の丸=東京都千代田区