ガザ停戦1カ月、食料なお欠乏=「物資はどこに」憤る人々

 【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザでは、10月10日の停戦発効から1カ月がたった今なお、食料や生活物資の欠乏に直面している。中心都市のガザ市がある北部の状況は特に深刻だ。各地でイスラエルの攻撃も繰り返されており、住民からは「停戦とは名ばかりだ」と憤りや悲嘆の声が聞かれる。
 ◇住民の半数に届かず
 「支援物資が毎日入ってくると聞いたのに、一体どこにあるんだ」。ガザ市のマフムード・アイマンさん(26)は、時事通信の電話取材に怒りをあらわにした。
 国連世界食糧計画(WFP)は11月4日、停戦発効以降、2万トン近くの食料支援物資をガザに搬入したものの、目標のおよそ半分にすぎないと発表した。配給所は目標の3分の1にも満たない44カ所にしか設置できていない。ガザの全住民210万人超の約半数には食料が届いていないという。
 WFPは、ガザへの物資搬入が制限されていると指摘。検問所が閉ざされたままの北部への支援が特に困難といい、イスラエルに対し、全ての検問所の開放と主要道路への自由なアクセスを求めた。
 イスラエルとイスラム組織ハマスによるガザ和平案の「第1段階」合意では1日当たりトラック600台分の支援物資が搬入されることとなっていた。しかし、ハマスによる人質の遺体返還が遅れると、イスラエルはハマスの「合意違反」を主張し、台数を制限すると国連に通告。ガザ当局は1日当たり約145台分の物資しか届いていないと訴えている。
 ◇冬到来に懸念
 今後の懸念材料は冬の到来だ。最低気温が10度を下回り、雨期でもある。破壊し尽くされたガザでは厳しい冬から身を守れない人々が続出。停戦前の前回の冬は、子供の凍死が相次いだ。
 アイマンさんは「自宅は半壊しており、常に崩壊の可能性にさらされている」と話す。このため息子と娘は妻と共に親戚の避難テントに身を寄せているが、布製のテントでは雨を防げない。「家族と共に避難できる場所がほしい」と訴えた。
 ガザ住民を支援するNGO「ノルウェー難民評議会(NRC)」は5日、145万人以上が避難生活用の緊急援助を必要としていると発表。ただ、NRCなど九つのNGOが試みたテントや毛布などの物品搬入は、「(NGO側に)搬入の権限がない」と主張するイスラエル当局に阻まれていると明かした。 
〔写真説明〕10日、パレスチナ自治区ガザ中部ヌセイラトの難民キャンプで、食料を受け取るため容器を持って待つ子供たち(AFP時事)

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