公明、対決と政策実現で苦慮=裏金批判も硬軟両様―衆院予算委

 野党の公明党が11日の衆院予算委員会で高市早苗首相(自民党総裁)との論戦に臨んだ。自民派閥の裏金事件を追及しつつ、与党時代から取り組んだ教育無償化などの政策も訴えた。政権との対決路線と、政策実現を目指す協調路線のバランスに苦慮する様子がうかがえた。
 公明議員が予算委で質問するのは連立政権離脱後では初めて。石破内閣で国土交通相を務めた中野洋昌氏は裏金事件を取り上げ、「全容解明の必要がある」と迫った。首相は「党総裁としておわびする。この問題が決着済みだとは思っていない。再発防止に取り組んでいきたい」と応じた。
 公明が連立離脱に踏み切った背景には、裏金問題の幕引きを急ぐ首相への反発があった。中野氏は、夏の参院選後に明らかになった、旧安倍派の萩生田光一幹事長代行の元政策秘書の略式起訴にも言及。「問題のけりがつかない」と指摘した。
 首相は答弁で、幕引きには至っていないと認めたものの、公明が求める究明や、企業・団体献金の規制強化への対応には踏み込まなかった。中野氏は「具体的に行動してもらいたい」と不満を示した。
 自民が日本維新の会との連立合意書に明記した衆院議員定数削減を巡っても中野氏は首相を攻めた。与党が念頭に置く比例代表削減に慎重な立場を表明したが、首相は「どのように削減するのかは、各党と真摯(しんし)に議論をしていきたい」とかわした。
 公明はこれまでの実績や、実現を目指す政策もアピールした。自民、維新、公明の3党は10月、2026年度から私立も含む高校授業料の無償化で合意しており、公明の協議メンバーである山崎正恭氏は成果を誇示し、必要な財源確保を政府に求めた。
 この日の予算委には公明議員3人が質問に立ったが、「政治とカネ」の問題を取り上げた「追及型」は中野氏だけ。岡本三成政調会長と山崎氏から首相への厳しい質問はなかった。党関係者は「高い支持率の高市政権には対決姿勢だけでは厳しい。硬軟織り交ぜた質問になる」と説明。自民関係者は「長年与党だった公明が急に野党色を強めるのは無理な話だ」と指摘した。 
〔写真説明〕衆院予算委員会で、公明党の岡本三成氏の質問に答弁する高市早苗首相=11日午後、国会内
〔写真説明〕衆院予算委員会で、答弁する高市早苗首相=11日午後、国会内

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